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May 7, 2020 Vol. 382 No. 19

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グルココルチコイド抵抗性の急性移植片対宿主病に対するルキソリチニブ
Ruxolitinib for Glucocorticoid-Refractory Acute Graft-versus-Host Disease

R. Zeiser and Others

背景

急性移植片対宿主病(GVHD)は,依然として同種造血幹細胞移植の主な制限因子であり,すべての患者が標準的なグルココルチコイド投与に反応するわけではない.第 2 相試験で,選択的ヤヌスキナーゼ(JAK1,JAK2)阻害薬ルキソリチニブは,グルココルチコイド抵抗性の急性 GVHD 患者に有効である可能性を示した.

方 法

同種造血幹細胞移植後に,グルココルチコイドに抵抗性を示す急性 GVHD を発症した 12 歳以上の患者を対象に,ルキソリチニブ(10 mg 1 日 2 回)の経口投与の有効性と安全性を,9 つのよく使用される治療選択肢のリストから試験担当医師が選択した治療(対照)と比較する多施設共同無作為化非盲検第 3 相試験を行った.主要エンドポイントは,28 日の時点での全奏効(完全奏効または部分奏効)とした.主な副次的エンドポイントは,56 日の時点での長期全奏効とした.

結 果

309 例が無作為化され,154 例がルキソリチニブ群,155 例が対照群に割り付けられた.28 日の時点での全奏効割合は,ルキソリチニブ群のほうが対照群よりも高かった(62% [96 例] 対 39% [61 例],オッズ比 2.64,95%信頼区間 [CI] 1.65~4.22,P<0.001).56 日の時点での長期全奏効割合は,ルキソリチニブ群のほうが対照群よりも高かった(40% [61 例] 対 22% [34 例],オッズ比 2.38,95% CI 1.43~3.94,P<0.001).6 ヵ月の時点での効果減弱の推定累積発生率は,ルキソリチニブ群で 10%,対照群で 39%であった.治療奏効維持生存期間の中央値は,ルキソリチニブ群のほうが対照群よりもかなり長かった(5.0 ヵ月 対 1.0 ヵ月,血液疾患の再発または進行・再発に関連しない死亡・急性 GVHD に対する新規全身療法の追加のハザード比 0.46,95% CI 0.35~0.60).全生存期間の中央値は,ルキソリチニブ群で 11.1 ヵ月,対照群で 6.5 ヵ月であった(死亡のハザード比 0.83,95% CI 0.60~1.15).28 日目までに発現した有害事象でとくに頻度が高かったのは,血小板減少(ルキソリチニブ群の 152 例中 50 例 [33%] と対照群の 150 例中 27 例 [18%]),貧血(46 例 [30%] と 42 例 [28%]),サイトメガロウイルス感染(39 例 [26%] と 31 例 [21%])であった.

結 論

ルキソリチニブ治療によって有効性転帰に有意な改善がもたらされた.血小板減少はもっとも頻度の高かった毒性であり,発現率は対照よりも高かった.(ノバルティス社から研究助成を受けた.REACH2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02913261)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 1800 - 10. )