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January 16, 2020 Vol. 382 No. 3

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心血管疾患患者におけるリポ蛋白(a)値低下
Lipoprotein(a) Reduction in Persons with Cardiovascular Disease

S. Tsimikas and Others

背景

リポ蛋白(a)値は遺伝的に決定されており,高値の場合は心血管疾患と大動脈弁狭窄症の危険因子である.リポ蛋白(a)値を低下させるための承認された薬物療法はない.

方 法

確立された心血管疾患を有し,スクリーニング時のリポ蛋白(a)値が 60 mg/dL(150 nmol/L)以上であった患者 286 例を対象に,無作為化二重盲検プラセボ対照用量設定試験を行った.患者に,肝細胞を標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチド AKCEA-APO(a)-LRx (APO(a)-LRx と呼ぶ)(20 mg,40 mg,60 mg のいずれかを 4 週ごと,20 mg を 2 週ごと,もしくは 20 mg を週 1 回)または生理食塩水のプラセボを,6~12 ヵ月間皮下投与した.リポ蛋白(a)値はアイソフォームに依存しないアッセイにより測定した.主要評価項目は,リポ蛋白(a)値のベースラインから曝露 6 ヵ月の時点(1 ヵ月ごとに投与した群では 25 週時点,それより投与頻度が高かった群では 27 週時点)までの変化の割合とした.

結 果

6 群におけるベースラインのリポ蛋白(a)値の中央値は 204.5~246.6 nmol/L であった.APO(a)-LRx の投与により,リポ蛋白(a)値は用量依存的に低下し,低下した割合の平均は,20 mg 4 週ごと投与群では 35%,40 mg 4 週ごと投与群では 56%,20 mg 2 週ごと投与群では 58%,60 mg 4 週ごと投与群では 72%,20 mg 週 1 回投与群では 80%であったのに対し,プラセボ群では 6%であった(P 値はプラセボとの比較で 0.003~<0.001).APO(a)-LRx のいずれの用量群においても,血小板数,肝機能・腎機能検査値,インフルエンザ様症状に関して,プラセボ群とのあいだに有意差は認められなかった.もっとも頻度が高かった有害事象は注射部位反応であった.

結 論

リポ蛋白(a)が高値で,確立された心血管疾患を有する患者において,APO(a)-LRx はリポ蛋白(a)値を用量依存的に低下させた.(アクセア セラピューティクス社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03070782)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 244 - 55. )