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February 20, 2020 Vol. 382 No. 8

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電子たばこ関連肺傷害に関連する気管支肺胞洗浄液中のビタミン E アセテート
Vitamin E Acetate in Bronchoalveolar-Lavage Fluid Associated with EVALI

B.C. Blount and Others

背景

現在米国で集団発生している電子たばこ関連肺傷害(EVALI)の原因物質はまだ明らかにされていない.EVALI 患者の気管支肺胞洗浄液(BALF)中の毒性物質を検出することで,肺内での曝露に関する直接的な情報が得られる可能性がある.

方 法

米国 16 州の EVALI 患者 51 例と,2015 年に開始され継続中の喫煙に関する研究(非喫煙者,電子たばこ [ベイピング] 製品のみの使用者,紙巻たばこのみの喫煙者が対象)に参加している健常者 99 例から BALF を採取した.BALF を用いて,重要度の高い毒性物質であるビタミン E アセテート,植物油,中鎖脂肪酸トリグリセリド油,ココナッツオイル,石油蒸留物,希釈テルペン類を測定するため,同位体希釈質量分析を行った.

結 果

州と現地の保健当局は,EVALI 症例の状態について,25 例を確定例,26 例をほぼ確実例に分類した.ビタミン E アセテートは,16 州の 51 例中 48 例(94%)の BALF で検出されたが,健常対照群の BALF では検出されなかった.他の重要度の高い毒性物質は,ココナッツオイルとリモネン(それぞれ 1 例で検出)を除き,症例患者の BALF でも対照群の BALF でも検出されなかった.臨床検査データまたは疫学データを入手しえた患者では,50 例中 47 例(94%)で,BALF 中にテトラヒドロカンナビノール(THC)またはその代謝産物が検出されたか,疾患発症前の 90 日間に THC 製品をベイピングしたことを申告していた.それらの 47 例中 30 例(64%)で,ニコチンまたはその代謝産物が検出された.

結 論

ビタミン E アセテートは,米国 16 州の患者 51 例の便宜的標本において EVALI と関連していた.(米国国立がん研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 697 - 705. )