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September 10, 2020 Vol. 383 No. 11

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非転移性去勢抵抗性前立腺癌とダロルタミドによる生存期間
Nonmetastatic, Castration-Resistant Prostate Cancer and Survival with Darolutamide

K. Fizazi and Others

背景

ダロルタミドは,独自の化学構造をもつアンドロゲン受容体阻害薬であり,非転移性去勢抵抗性前立腺癌の治療薬として承認されている.第 3 相試験で計画されていた主要解析では,無転移生存期間中央値はダロルタミド群(40.4 ヵ月)のほうがプラセボ群(18.4 ヵ月)よりも有意に長かった.主要解析の時点では,全生存期間を解析するためのデータは揃っていなかった.

方 法

二重盲検プラセボ対照試験で,1,509 例を,アンドロゲン除去療法を継続しながら,ダロルタミドを投与する群(955 例)とプラセボを投与する群(554 例)に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目の解析結果が肯定的であることが判明した後,治療割付けの盲検を解除し,プラセボ群の患者にダロルタミドの非盲検投与へのクロスオーバーを許可した.最終解析は約 240 例が死亡した後に行うこととし,その時点で全生存期間とその他すべての副次的評価項目を評価した.

結 果

追跡期間中央値は 29.0 ヵ月であった.データの盲検を解除した時点で,プラセボの投与を継続していた 170 例全例がダロルタミド投与にクロスオーバーし,盲検解除前にプラセボを中止していた患者のうち,137 例がダロルタミド以外の延命治療を 1 種類以上受けていた.3 年全生存率はダロルタミド群で 83%(95%信頼区間 [CI] 80~86),プラセボ群で 77%(95% CI 72~81)であった.死亡リスクは,ダロルタミド群のほうがプラセボ群よりも有意に,31%低かった(死亡のハザード比 0.69,95% CI 0.53~0.88,P=0.003).ダロルタミドは,症候性骨関連事象発現までの期間や細胞傷害性化学療法開始までの期間など,その他すべての副次的評価項目に関する有意な利益とも関連していた.投与開始後の有害事象発現率は 2 群で同程度であり,新たな安全性シグナルは認められなかった.

結 論

非転移性去勢抵抗性前立腺癌患者において,3 年の時点で生存していた割合は,ダロルタミドの投与を受けた患者のほうがプラセボの投与を受けた患者よりも有意に高かった.有害事象発現率は 2 群で同程度であった.(バイエルヘルスケア社,オリオンファーマ社から研究助成を受けた.ARAMIS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02200614)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 1040 - 9. )