October 15, 2020 Vol. 383 No. 16
スウェーデン肥満者研究における肥満手術後の平均余命
Life Expectancy after Bariatric Surgery in the Swedish Obese Subjects Study
L.M.S. Carlsson and Others
肥満は平均余命を短縮させる.肥満手術は長期的な死亡の相対リスクを低下させることが知られているが,平均余命への影響は明らかではない.
Gompertz 比例ハザード回帰モデルを用いて,前向き対照研究であるスウェーデン肥満者(SOS)研究で肥満手術を受けた患者(手術群)および通常の肥満治療を受けた患者(対照群)と,一般集団からの無作為標本である SOS 参照研究の参加者(参照コホート)とで,死亡と平均余命を比較した.
2,007 例が手術群,2,040 例が対照群に組み入れられ,1,135 例が参照コホートに組み入れられた.解析の時点(2018 年 12 月 31 日)で,死亡の追跡期間の中央値は手術群で 24 年(四分位範囲 22~27),対照群で 22 年(四分位範囲 21~27)であり,死亡に関するデータは試験参加者の 99.9%で入手できた.SOS 参照コホートでは,追跡期間の中央値は 20 年(四分位範囲 19~21)であり,死亡に関するデータは参加者の 100%で入手できた.手術群の 457 例(22.8%)と対照群の 539 例(26.4%)が死亡した(ハザード比 0.77,95%信頼区間 [CI] 0.68~0.87,P<0.001).対応するハザード比は,心血管疾患による死亡で 0.70(95% CI 0.57~0.85),癌による死亡で 0.77(95% CI 0.61~0.96)であった.手術群の補正後の平均余命の中央値は対照群より 3.0 年(95% CI 1.8~4.2)長かったが,一般集団より 5.5 年短かった.手術群の術後 90 日以内の死亡率は 0.2%であり,再手術を受けた割合は 2.9%であった.
肥満患者において,肥満手術は通常の肥満治療よりも平均余命が長いことと関連していた.死亡率は,両群とも一般集団よりも高いままであった.(スウェーデン研究評議会ほかから研究助成を受けた.SOS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01479452)