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November 12, 2020 Vol. 383 No. 20

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虫垂炎に対する抗菌薬と虫垂切除術とを比較する無作為化試験
A Randomized Trial Comparing Antibiotics with Appendectomy for Appendicitis

The CODA Collaborative

背景

虫垂炎に対しては,手術に代わる治療として抗菌薬療法が提案されている.

方 法

米国の 25 施設で,虫垂炎患者を対象に抗菌薬療法(10 日間コース)と虫垂切除術とを比較する実用的非盲検非劣性無作為化試験を行った.主要評価項目は 30 日の時点での健康状態とし,EuroQol 5 項目(EQ-5D)質問票(0~1 で,スコアが高いほど健康状態が良好であることを示す;非劣性マージンは 0.05 ポイント)で評価した.副次的評価項目は,90 日の時点での抗菌薬群の虫垂切除術,合併症などとし,虫垂結石の有無によるサブグループ解析を事前に設定した.

結 果

成人 1,552 例(414 例は虫垂結石を保有)が無作為化され,776 例が抗菌薬群(うち 47%はこの治療のための入院はせず),776 例が虫垂切除術群(うち 96%は腹腔鏡下で施行)に割り付けられた.30 日の時点での EQ-5D スコアに基づくと,抗菌薬は虫垂切除術に対して非劣性を示した(差の平均 0.01 ポイント,95%信頼区間 [CI] -0.001~0.03).90 日の時点までに抗菌薬群の 29%が虫垂切除術を受け,虫垂結石保有者の 41%と非保有者の 25%が虫垂切除術を受けた.合併症発症率は,抗菌薬群のほうが虫垂切除術群よりも高く(100 例あたり 8.1 件 対 3.5 件,率比 2.28,95% CI 1.30~3.98),このことは虫垂結石保有者に起因し(100 例あたり抗菌薬群 20.2 件 対 虫垂切除術群 3.6 件,率比 5.69,95% CI 2.11~15.38),非保有者には起因しないと考えられた(100 例あたり 3.7 件 対 3.5 件,率比 1.05,95% CI 0.45~2.43).重篤な有害事象の発現率は,抗菌薬群で 100 例あたり 4.0 件,虫垂切除術群で 100 例あたり 3.0 件であった(率比 1.29,95% CI 0.67~2.50).

結 論

虫垂炎の治療において,標準的な健康状態の指標の結果に基づくと,抗菌薬は虫垂切除術に対して非劣性を示した.抗菌薬群では,10 例に約 3 例が 90 日の時点までに虫垂切除術を受けた.虫垂結石保有者は,非保有者よりも虫垂切除術と合併症のリスクが高かった.(患者中心アウトカム研究所から研究助成を受けた.CODA 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02800785)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 1907 - 19. )