November 26, 2020 Vol. 383 No. 22
インスリン治療歴のない 2 型糖尿病に対する週 1 回のインスリン投与
Once-Weekly Insulin for Type 2 Diabetes without Previous Insulin Treatment
J. Rosenstock and Others
基礎インスリン注射の頻度が減少すれば,2 型糖尿病患者の治療の受容やアドヒアランスが改善されるかもしれないと考えられている.インスリンアイコデク(insulin icodec)は,糖尿病治療薬として開発中の,週 1 回投与するデザインの基礎インスリンアナログである.
2 型糖尿病を有し,長期のインスリン治療歴がなく,ジペプチジルペプチダーゼ 4(DPP-4)阻害薬併用または非併用でメトホルミンを服用中であるがコントロール不良(糖化ヘモグロビン 7.0~9.5%)の患者を対象に,週 1 回のインスリンアイコデクの有効性と安全性を 1 日 1 回のインスリングラルギン U100 と比較検討する,26 週間の無作為化二重盲検ダブルダミー第 2 相試験を行った.主要エンドポイントは,26 週の時点での糖化ヘモグロビンのベースラインからの変化量とした.低血糖エピソードやインスリン関連有害事象などの安全性エンドポイントも評価した.
247 例をアイコデクの投与を受ける群とグラルギンの投与を受ける群に(1:1 の割合で)無作為に割り付けた.患者背景は 2 群で類似していた.ベースラインの糖化ヘモグロビンの平均値はアイコデク群で 8.09%,グラルギン群で 7.96%であった.26 週の時点での糖化ヘモグロビンの平均変化量はアイコデク群で -1.33 パーセントポイント,グラルギン群で -1.15 パーセントポイントと推定され,糖化ヘモグロビンの平均値はそれぞれ 6.69%,6.87%と推定された.ベースラインからの変化量の群間差は -0.18 パーセントポイント(95% CI -0.38~0.02,P=0.08)と推定された.重症度レベルが 2(血糖値<54 mg/dL)または 3(重度の認知機能障害)の低血糖の発生率は低かった(1 患者年あたりアイコデク群 0.53 件とグラルギン群 0.46 件,率比の推定値 1.09,95% CI 0.45~2.65).重要なインスリン関連有害事象に群間差はなく,過敏症と注射部位反応の発生率は低かった.有害事象の大部分は軽度で,試験薬に関連すると判断された重篤な事象はなかった.
2 型糖尿病患者において,週 1 回のインスリンアイコデクによる治療は,血糖降下作用と安全性プロファイルが 1 日 1 回のインスリングラルギン U100 と同様であった.(ノボ ノルディスク社から研究助成を受けた.NN1436-4383 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03751657)