November 26, 2020 Vol. 383 No. 22
心房細動を有する生体弁僧帽弁置換術後の患者に対するリバーロキサバン
Rivaroxaban in Patients with Atrial Fibrillation and a Bioprosthetic Mitral Valve
H.P. Guimarães and Others
心房細動を有する生体弁僧帽弁置換術後の患者に対するリバーロキサバンの効果はまだ明らかにされていない.
無作為化試験で,生体弁僧帽弁置換術を受けた心房細動患者を対象に,リバーロキサバン(20 mg を 1 日 1 回)を,用量調節ワルファリン(目標国際標準比 2.0~3.0)と比較した.主要転帰は,12 ヵ月の時点での死亡,主要心血管イベント(脳卒中,一過性脳虚血発作,全身性塞栓症,血栓弁,心不全による入院),大出血の複合とした.
ブラジルの 49 施設で 1,005 例が登録された.主要転帰イベントは,リバーロキサバン群では平均 347.5 日の時点で,ワルファリン群では平均 340.1 日の時点で発生した(制限付き平均生存時間として算出した差 7.4 日,95%信頼区間 [CI] -1.4~16.3,非劣性の P<0.001).心血管系の原因による死亡または血栓塞栓イベントは,リバーロキサバン群の 17 例(3.4%)とワルファリン群の 26 例(5.1%)に発生した(ハザード比 0.65,95% CI 0.35~1.20).脳卒中の発生率はリバーロキサバン群で 0.6%,ワルファリン群で 2.4%であった(ハザード比 0.25,95% CI 0.07~0.88).大出血は,リバーロキサバン群の 7 例(1.4%)とワルファリン群の 13 例(2.6%)に発生した(ハザード比 0.54,95% CI 0.21~1.35).その他の重篤な有害事象の発現頻度は 2 群で同程度であった.
心房細動を有する生体弁僧帽弁置換術後の患者において,リバーロキサバンは,主要転帰である 12 ヵ月の時点での死亡,主要心血管イベント,大出血の発生までの平均期間に関して,ワルファリンに対して非劣性を示した.(PROADI-SUS,バイエル社から研究助成を受けた.RIVER 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02303795)