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December 17, 2020 Vol. 383 No. 25

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航空母艦における Covid-19 の集団発生
An Outbreak of Covid-19 on an Aircraft Carrier

M.R. Kasper and Others

背景

4,779 人の乗組員を乗せた原子力空母セオドア・ルーズベルト号で新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の集団発生が起こった.

方 法

全乗組員の,リアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(rRT-PCR)検査結果を含む臨床データと人口統計学的データを取得した.検査結果や症状の有無にかかわらず,全員を最低 10 週間追跡した.

結 果

乗組員の大部分は若年であり(平均年齢 27 歳),健康状態はおおむね良好で,米国海軍の海上勤務の基準を満たしていた.集団発生の期間中に,1,271 例(乗組員の 26.6%)が rRT-PCR 検査で重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)陽性と判定され,最初の感染例が検査で確認されてから 5 週間以内に 1,000 例以上の感染が確認された.そのほかに,60 例で Covid-19 が疑われた(すなわち,検査では陽性と判定されなかったが,州および地域疫学専門家委員会 [CSTE] の Covid-19 の臨床診断基準を満たした).検査で感染が確認された乗組員のうち,76.9%(1,271 例中 978 例)は検査で陽性と判定された時点で症状がなく,55.0%は臨床経過のいずれかの時点で症状が発現した.Covid-19 の疑い例と確定例計 1,331 例のうち,23 例(1.7%)が入院し,4 例(0.3%)が集中治療を受け,1 例が死亡した.閉鎖空間で作業をしていた乗組員は感染する確率が高いと思われた.

結 論

SARS-CoV-2 はセオドア・ルーズベルト号の乗組員のあいだで急速に拡大した.伝播は狭い空間で人と接近した状態と,無症状または発症前の感染した乗組員によって促進された.SARS-CoV-2 陽性と判定された乗組員の半数近くは,症状が発現することはなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 2417 - 26. )