早産児における RS ウイルス感染予防のためのニルセビマブ単回投与
Single-Dose Nirsevimab for Prevention of RSV in Preterm Infants
M.P. Griffin and Others
RS ウイルス(RSV)は乳児の下気道感染症の原因としてもっとも多く,健康な乳児の感染を予防する必要がある.ニルセビマブ(nirsevimab)は,単回筋肉内投与で RSV 流行期間中に乳児を感染から防御するために開発された,半減期を延長させたモノクローナル抗体である.
南北両半球で行われた試験で,早産(在胎 29 週 0 日~34 週 6 日)で出生した健康な乳児における RSV 関連下気道感染症の予防にニルセビマブを評価した.乳児を,RSV 流行期に入った時点でニルセビマブ 50 mg の単回筋肉内注射を行う群とプラセボの投与を行う群に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,投与後 150 日間における受診にいたった RSV 関連下気道感染症とした.副次的有効性エンドポイントは,投与後 150 日間における RSV 関連下気道感染症による入院とした.
2016 年 11 月~2017 年 11 月に,乳児 1,453 例を,RSV 流行期に入った時点でニルセビマブ群(969 例)とプラセボ群(484 例)に無作為に割り付けた.受診にいたった RSV 関連下気道感染症の発生率は,ニルセビマブ予防投与群のほうがプラセボ投与群よりも 70.1%(95%信頼区間 [CI] 52.3~81.2)低く(2.6% [25 例] 対 9.5% [46 例],P<0.001),RSV 関連下気道感染症による入院の発生率は,ニルセビマブ群のほうがプラセボ群よりも 78.4%(95% CI 51.9~90.3)低かった(0.8% [8 例] 対 4.1% [20 例],P<0.001).これらの差は,投与後 150 日間を通じて一貫しており,半球別のサブグループ内でも認められ,また RSV のサブタイプを問わず認められた.有害事象は 2 群で同程度であり,著明な過敏反応は認められなかった.
健康な早産児に対するニルセビマブの単回注射により,プラセボと比較して,受診にいたった RSV 関連下気道感染症と入院が RSV 流行期間中少なくなった.(アストラゼネカ社,サノフィパスツール社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02878330)