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March 18, 2021 Vol. 384 No. 11

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HIV-1 感染を予防するための中和抗体に関する 2 件の無作為化試験
Two Randomized Trials of Neutralizing Antibodies to Prevent HIV-1 Acquisition

L. Corey and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)感染予防に広域中和抗体(bnAb)を使用できるかどうかは明らかにされていない.

方 法

アメリカ大陸および欧州で行われた HVTN 704/HPTN 085 試験では,リスクのあるシスジェンダーの男性およびトランスジェンダーの人,サハラ以南のアフリカで行われた HVTN 703/HPTN 081 試験では,リスクのある女性を登録した.参加者を,bnAb(VRC01)の注入を 10 mg/kg または 30 mg/kg の用量で 8 週ごとに計 10 回行う群(それぞれ低用量群と高用量群)と,プラセボの投与を行う群に無作為に割り付けた.HIV-1 検査を 4 週ごとに行った.得られた分離株の VRC01 80%阻害濃度(IC80)を TZM-bl 試験で測定した.

結 果

有害事象の件数と重症度は,各試験内の治療群間で同程度であった.HVTN 704/HPTN 085 試験では,参加者 2,699 例のうち,低用量群の 32 例,高用量群の 28 例,プラセボ群の 38 例に HIV-1 感染が発生した.HVTN 703/HPTN 081 試験では,参加者 1,924 例のうち,低用量群の 28 例,高用量群の 19 例,プラセボ群の 29 例に HIV-1 感染が発生した.100 人年あたりの HIV-1 感染発生率は,HVTN 704/HPTN 085 試験では VRC01 統合群 2.35,プラセボ群 2.98 であり(予防効果の推定値 26.6%,95%信頼区間 [CI] -11.7~51.8,P=0.15),HVTN 703/HPTN 081 試験では VRC01 統合群 2.49,プラセボ群 3.10 であった(予防効果の推定値 8.8%,95% CI -45.1~42.6,P=0.70).事前に規定した,試験全体でデータをプールして行う解析で は,VRC01 感受性株(IC80<1 μg/mL)による感染の 100 人年あたりの発生率は,VRC01 の投与を受けた人では 0.20,プラセボの投与を受けた人では 0.86 であった(予防効果の推定値 75.4%,95% CI 45.5~88.9).感受性株に対する予防効果は,VRC01 のいずれの用量でも,いずれの試験でも同程度であったが,VRC01 はその他の HIV-1 株による感染は予防しなかった.

結 論

VRC01 は,HIV-1 感染全体の予防にはプラセボを上回る効果はなかったが,VRC01 感受性 HIV-1 株の解析から,bnAb による予防が有効である可能性があるという概念の実証(proof-of-concept)が得られた.(米国国立アレルギー・感染症研究所から研究助成を受けた.HVTN 704/HPTN 085 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02716675,HVTN 703/HPTN 081 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02568215)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 1003 - 14. )