結核に対するモキシフロキサシン併用または非併用のリファペンチンの 4 ヵ月レジメン
Four-Month Rifapentine Regimens with or without Moxifloxacin for Tuberculosis
S.E. Dorman and Others
リファペンチン(rifapentine)を用いるレジメンは強力な抗結核菌活性を有し,薬剤感受性肺結核患者の治療をさらに短縮できる可能性がある.
新たに肺結核と診断された 13 ヵ国の患者を対象とした非盲検第 3 相無作為化比較試験で,リファペンチンを用いる 2 つの 4 ヵ月レジメンと,リファンピン(rifampin),イソニアジド,ピラジナミド,エタンブトールを用いる標準的な 6 ヵ月レジメン(対照)を,非劣性マージンを 6.6 パーセントポイントとして比較した.4 ヵ月レジメンは,リファンピンの代わりにリファペンチンを用いるものと,リファンピンの代わりにリファペンチン,エタンブトールの代わりにモキシフロキサシンを用いるものであった.主要有効性転帰は,12 ヵ月の時点での結核なしでの生存とした.
無作為化された 2,516 例のうち,2,343 例がイソニアジド,リファンピン,フルオロキノロン系に耐性を示さない結核菌培養陽性であり(微生物学的適格集団;対照群 768 例,リファペンチン–モキシフロキサシン群 791 例,リファペンチン群 784 例),そのうち 194 例はヒト免疫不全ウイルス(HIV)との重複感染で,1,703 例に胸部 X 線写真で空洞性病変が認められた.主要転帰を評価しえたのは 2,234 例であった(評価可能集団;対照群 726 例,リファペンチン–モキシフロキサシン群 756 例,リファペンチン群 752 例).モキシフロキサシン併用のリファペンチンは,微生物学的適格集団では対照に対して非劣性を示し(転帰不良の割合 15.5% 対 14.6%,差 1.0 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -2.6~4.5),評価可能集団でも非劣性を示した(11.6% 対 9.6%,差 2.0 パーセントポイント,95% CI -1.1~5.1).副次的解析と感度分析でも非劣性が示された.モキシフロキサシン非併用のリファペンチンは,いずれの集団においても対照に対して非劣性を示さなかった(微生物学的適格集団における転帰不良の割合 17.7% 対 14.6%,差 3.0 パーセントポイント[95% CI -0.6~6.6];評価可能集団における転帰不良の割合 14.2% 対 9.6%,差 4.4 パーセントポイント [95% CI 1.2~7.7]).投与期間中に,グレード 3 以上の有害事象が対照群の 19.3%,リファペンチン–モキシフロキサシン群の 18.8%,リファペンチン群の 14.3%に発現した.
結核治療において,モキシフロキサシンを含むリファペンチンの 4 ヵ月レジメンの有効性は,標準的な 6 ヵ月レジメンに対して非劣性であった.(米国疾病管理予防センターほかから研究助成を受けた.31/A5349 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02410772)