Covid-19 ワクチン NVX-CoV2373 の B.1.351 変異株に対する有効性
Efficacy of NVX-CoV2373 Covid-19 Vaccine against the B.1.351 Variant
V. Shinde and Others
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)変異株の出現は,新型コロナウイルス感染症(Covid-19)パンデミックの制御を脅かす.健康な成人を対象とした第 1・2 相試験で,NVX-CoV2373 ナノ粒子ワクチンは,安全性プロファイルは忍容可能であり,強力な中和抗体応答,抗原特異的多機能 CD4 陽性 T 細胞応答と関連していた.SARS-CoV-2 の伝播が続くなか,ワクチンの有効性の評価が必要とされた.
南アフリカで行った第 2a・b 相試験で,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)陰性の 18~84 歳の成人,または HIV 陽性で医学的に安定している 18~64 歳の成人を,NVX-CoV2373 ワクチン(遺伝子組換えスパイク蛋白 5 μg と Matrix-M1 アジュバント 50 μg)を 2 回接種する群とプラセボを 2 回接種する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は,安全性と,SARS-CoV-2 感染の既往がない参加者における 2 回目の接種後 7 日目以降の,検査で確認された症状を伴う Covid-19 に対するワクチンの有効性とした.
スクリーニングを受けた 6,324 例のうち,4,387 例がワクチンまたはプラセボの接種を少なくとも 1 回受けた.参加者の約 30%はベースライン時に血清抗 SARS-CoV-2 抗体陽性であった.ベースライン時に抗体陰性であった 2,684 例(HIV 陰性 94%,HIV 陽性 6%)において,ワクチン群の 15 例,プラセボ群の 29 例が主に軽症~中等症の Covid-19 を発症した(ワクチンの有効率 49.4%,95%信頼区間 [CI] 6.1~72.8).HIV 陰性の参加者におけるワクチンの有効率は 60.1%(95% CI 19.9~80.1)であった.配列決定した 41 の分離株のうち,38 株(92.7%)が B.1.351 変異株であった.事後解析による B.1.351 変異株に対するワクチンの有効率は,HIV 陰性の参加者では 51.0%(95% CI -0.6~76.2)であった.予備的データでは,局所および全身の反応原性事象はワクチン群でより多くみられ,重篤な有害事象は両群とも非常に少なかった.
NVX-CoV2373 ワクチンは Covid-19 の予防に有効であり,ワクチンの有効率は HIV 陰性の参加者でより高かった.大部分の感染は B.1.351 変異株によって引き起こされた.(ノババックス社,ビル&メリンダ・ゲイツ財団から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04533399)