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May 27, 2021 Vol. 384 No. 21

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人工関節周囲感染に対する 6 週間の抗菌薬治療と 12 週間の抗菌薬治療との比較
Antibiotic Therapy for 6 or 12 Weeks for Prosthetic Joint Infection

L. Bernard and Others

背景

人工関節周囲感染の管理は通常,手術と抗菌薬治療を併用する.この適応での抗菌薬治療の適切な期間は依然として明らかにされていない.

方 法

人工関節周囲感染が微生物学的に確認され,適切な外科処置によって管理されていた患者を対象に,6 週間の抗菌薬治療と 12 週間の抗菌薬治療とを比較する非盲検無作為化比較非劣性試験を行った.主要転帰は,抗菌薬治療終了後 2 年以内に認められる持続感染(初回の原因菌による感染の持続または再発で,抗菌薬感受性パターンが表現型の点で組入れ時と類似しているもの)とした.2 年以内の持続感染患者の割合における群間差の絶対値(6 週群の値-12 週群の値)の 95%信頼区間(CI)上限が 10 パーセントポイント以下の場合に,6 週間の抗菌薬治療の 12 週間の抗菌薬治療に対する非劣性が示されることとした.

結 果

フランスの 28 施設の 410 例が,6 週間の抗菌薬治療(205 例)と 12 週間の抗菌薬治療(205 例)に無作為に割り付けられた.同意を撤回した 6 例は解析に含めなかった.主要解析では,追跡期間中に死亡した 20 例を除外し,追跡不能のため転帰が欠測した 6 例は持続感染とみなした.持続感染は,6 週群の 193 例中 35 例(18.1%)と 12 週群の 191 例中 18 例(9.4%)に認められ(リスク差 8.7 パーセントポイント,95% CI 1.8~15.6),6 週間の抗菌薬治療の非劣性は示されなかった.per-protocol 解析と感度分析でも非劣性は示されなかった.新規感染によって治療が失敗した患者,治療が失敗したと考えられる患者,重篤な有害事象が発現した患者の割合に群間で差は認められなかった.

結 論

人工関節周囲感染が微生物学的に確認され,適切な外科処置によって管理されていた患者において,6 週間の抗菌薬治療は,12 週間の抗菌薬治療に対し非劣性を示さず,また,転帰不良の割合が高かった.(フランス保健省臨床研究病院プログラムから研究助成を受けた.DATIPO 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号NCT01816009)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 1991 - 2001. )