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February 18, 2021 Vol. 384 No. 7

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ANCA 関連血管炎の治療薬としてのアバコパン
Avacopan for the Treatment of ANCA-Associated Vasculitis

D.R.W. Jayne and Others

背景

補体 C5a 受容体阻害薬のアバコパン(avacopan)は,抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎の治療薬として研究されている.

方 法

無作為化比較試験で,ANCA 関連血管炎の患者を,アバコパン 30 mg を 1 日 2 回経口投与する群と,プレドニゾン(prednisone)を用量漸減スケジュールで経口投与する群に 1:1 の割合で割り付けた.全例がシクロホスファミド(続いてアザチオプリン)またはリツキシマブの投与を受けた.1 つ目の主要エンドポイントは寛解とし,26 週の時点でバーミンガム血管炎活動性スコア(BVAS;0~63 で,スコアが高いほど疾患活動性が高いことを示す)が 0 であり,直近の 4 週間にグルココルチコイド使用歴がないことと定義した.2 つ目の主要エンドポイントは持続的寛解とし,26 週と 52 週の両時点での寛解と定義した.両エンドポイントについて,非劣性(マージンは 20 パーセントポイント)と優越性を検証した.

結 果

331 例が無作為化され,166 例がアバコパン群,165 例がプレドニゾン群に割り付けられた.ベースライン時の BVAS の平均値は両群とも 16 であった.26 週の時点での寛解(1 つ目の主要エンドポイント)は,アバコパンを投与した 166 例中 120 例(72.3%)とプレドニゾンを投与した 164 例中 115 例(70.1%)に認められた(推定公差 3.4 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -6.0~12.8,非劣性の P<0.001,優越性の P=0.24).52 週の時点での持続的寛解(2 つ目の主要エンドポイント)は,アバコパンを投与した 166 例中 109 例(65.7%)とプレドニゾンを投与した 164 例中 90 例(54.9%)に認められた(推定公差 12.5 パーセントポイント,95% CI 2.6~22.3,非劣性の P<0.001,優越性の P=0.007).重篤な有害事象(血管炎の悪化を除く)は,アバコパンを投与した患者の 37.3%とプレドニゾンを投与した患者の 39.0%に発現した.

結 論

ANCA 関連血管炎の患者を対象とした今回の試験では,アバコパンはプレドニゾン漸減に対して,26 週の時点での寛解に関して非劣性を示したものの優越性は示さず,52 週の時点での持続的寛解に関しては優越性を示した.全例がシクロホスファミドまたはリツキシマブの投与を受けた.アバコパンの 52 週以降の安全性と臨床効果は,今回の試験では検討されなかった.(ケモセントリクス社から研究助成を受けた.ADVOCATE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02994927)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 599 - 609. )