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February 25, 2021 Vol. 384 No. 8

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再発・難治性多発性骨髄腫に対するイデカブタゲン ビクルユーセル
Idecabtagene Vicleucel in Relapsed and Refractory Multiple Myeloma

N.C. Munshi and Others

背景

イデカブタゲン ビクルユーセル(idecabtagene vicleucel [ide-cel];bb2121 とも呼ばれる)は,B 細胞成熟抗原を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T 細胞療法であり,再発・難治性多発性骨髄腫患者において,臨床活性とともに,CAR T 細胞に予想される毒性を示している.

方 法

第 2 相試験で,再発・難治性骨髄腫患者における ide-cel の有効性と安全性の確認を行った.プロテアソーム阻害薬,免疫調節薬,抗 CD38 抗体を含むレジメンを少なくとも 3 種類受けたことのある多発性骨髄腫患者を組み入れた.患者は,CAR 発現 T 細胞の目標用量 150×106~450×106 個で ide-cel の投与を受けた.主要エンドポイントは全奏効(部分奏効以上)とし,重要な副次的エンドポイントは完全奏効以上(完全奏効および厳格な完全奏効)とした.

結 果

140 例を組み入れ,128 例が ide-cel 投与を受けた.追跡期間中央値 13.3 ヵ月の時点で,128 例中 94 例(73%)で奏効が得られ,完全奏効以上は 42 例(33%)で得られた.微小残存病変(MRD)陰性(有核細胞が 10-5 個未満)は 33 例で得られ,ide-cel 投与を受けた全 128 例のうち 26%,完全奏効以上が得られた 42 例のうち 79%に相当した.無増悪生存期間の中央値は 8.8 ヵ月(95%信頼区間 5.6~11.6)であった.ide-cel 投与を受けた 128 例で頻度の高かった毒性は,好中球減少 117 例(91%),貧血 89 例(70%),血小板減少 81 例(63%)などであった.サイトカイン放出症候群は 107 例(84%)で報告され,7 例(5%)にはサイトカイン症候群グレード 3 以上に分類されるイベントがあった.神経毒性は 23 例(18%)で発現し,うち 4 例(3%)はグレード 3 であった.グレード 3 を超える神経毒性は発現しなかった.細胞動態解析では,CAR 発現 T 細胞は投与後 6 ヵ月の時点で 49 例中 29 例(59%)に確認され,12 ヵ月の時点では 11 例中 4 例(36%)に確認された.

結 論

ide-cel により多種類の前治療歴のある再発・難治性骨髄腫患者の大多数で奏効が得られた.MRD 陰性は ide-cel 投与を受けた患者の 26%で得られた.ほぼ全例にグレード 3 または 4 の毒性が発現し,とくに頻度が高かったのは血液学的毒性とサイトカイン放出症候群であった.(ブルーバード・バイオ社,セルジーン社 [ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の子会社] から研究助成を受けた.KarMMa 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03361748)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 705 - 16. )