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October 7, 2021 Vol. 385 No. 15

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イスラエルにおける BNT162b2 ワクチンのブースター接種の Covid-19 に対する防御効果
Protection of BNT162b2 Vaccine Booster against Covid-19 in Israel

Y.M. Bar-On and Others

背景

2021 年 7 月 30 日,イスラエルでは,BNT162b2 メッセンジャー RNA ワクチン(ファイザー社–ビオンテック社)の 3 回目の接種(ブースター接種)が,2 回目の接種を 5 ヵ月以上前に受けている 60 歳以上の人に対して承認された.このブースター接種の,PCR 検査で確認された新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の発生率,および重症 Covid-19 の発生率に対する効果に関するデータが必要である.

方 法

イスラエル保健省のデータベースから,年齢が 60 歳以上で,5 ヵ月以上前にワクチン接種を完了している(すなわち,BNT162b2 ワクチンの 2 回の接種を受けている)1,137,804 人の,2021 年 7 月 30 日~8 月 31 日の期間のデータを抽出した.主要解析では,12 日以上前にブースター接種を受けた人(ブースター群)と,ブースター接種を受けていない人(非ブースター群)とで,検査で確認された感染の発生率と重症 Covid-19 の発生率を比較した.副次的解析では,ブースター接種後 4~6 日の時点での感染の発生率を,ブースター接種後 12 日以降の感染の発生率と比較検討した.すべての解析で,交絡する可能性のある要因で補正した後にポアソン回帰を用いた.

結 果

ブースター接種後 12 日以降,検査で確認された感染の発生率は,ブースター群では非ブースター群の 11.3(95% 信頼区間[CI] 10.4~12.3)分の 1 であり,重症 Covid-19 の発生率は 19.5(95% CI 12.9~29.5)分の 1 であった.副次的解析では,ブースター接種後 12 日以降に検査で確認された感染の発生率は,ブースター接種後 4~6 日の発生率の 5.4(95% CI 4.8~6.1)分の 1 であった.

結 論

BNT162b2 ワクチンの 2 回の接種を 5 ヵ月以上前に受けている 60 歳以上の参加者を対象としたこの研究では,ブースター接種(3 回目の接種)を受けた人は,検査で確認された Covid-19 感染の発生率と重症 Covid-19 の発生率が,受けていない人よりも大幅に低かった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 1393 - 400. )