November 18, 2021 Vol. 385 No. 21
SARS-CoV-2 中和抗体ソトロビマブによる Covid-19 の早期治療
Early Treatment for Covid-19 with SARS-CoV-2 Neutralizing Antibody Sotrovimab
A. Gupta and Others
新型コロナウイルス感染症(Covid-19)に罹患した高齢者および基礎疾患を有する患者では,入院または死亡が不均衡に多い.ソトロビマブは,高リスク患者における Covid-19 の進行を早期に防ぐことを目的にデザインされた,汎サルベコウイルスモノクローナル抗体である.
現在進行中の多施設共同二重盲検第 3 相試験で,症状を伴う Covid-19(症状発現後 5 日以内)を有し,疾患進行の危険因子を 1 つ以上有する非入院患者を,ソトロビマブ 500 mg を単回点滴静注する群とプラセボを投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要有効性転帰は,無作為化後 29 日以内のあらゆる原因による入院(在院時間 24 時間超)または死亡とした.
事前に規定されたこの中間解析では,intention-to-treat 集団は 583 例(ソトロビマブ群 291 例,プラセボ群 292 例)であった.入院または死亡にいたる疾患進行は,ソトロビマブ群では 3 例(1%)に認められたのに対し,プラセボ群では 21 例(7%)に認められた(相対リスク減少 85%,97.24%信頼区間 44~96,P=0.002).プラセボ群では 5 例が集中治療室に入室し,うち 1 例が 29 日目までに死亡した.安全性解析対象集団は 868 例(ソトロビマブ群 430 例,プラセボ群 438 例)であった.有害事象はソトロビマブ群の 17%とプラセボ群の 19%で報告され,重篤な有害事象はソトロビマブ群のほうがプラセボ群よりも頻度が低かった(それぞれ 2%と 6%).
軽症~中等症の Covid-19 を有する高リスク患者では,ソトロビマブにより疾患進行のリスクが減少した.安全性シグナルは確認されなかった.(ビア バイオテクノロジー社,グラクソ・スミスクライン社から研究助成を受けた.COMET-ICE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04545060)