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December 9, 2021 Vol. 385 No. 24

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腎疾患と 2 型糖尿病を有する患者にフィネレノンを投与した場合の心血管イベント
Cardiovascular Events with Finerenone in Kidney Disease and Type 2 Diabetes

B. Pitt and Others

背景

非ステロイド性選択的ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬であるフィネレノン(finerenone)は,尿中アルブミンの高度上昇を伴う主にステージ 3 または 4 の慢性腎臓病(CKD)と 2 型糖尿病を有する患者の心腎転帰に,有望な効果を示している.2 型糖尿病とより広範な CKD を有する患者にフィネレノンを使用した場合の効果については明らかにされていない.

方 法

二重盲検試験で,CKD と 2 型糖尿病を有する患者を,フィネレノンを投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.尿中アルブミン/クレアチニン比(mg/g クレアチニン)が 30 以上 300 未満で,推算糸球体濾過量(eGFR)が 25~90 mL/分/1.73 m2 体表面積(ステージ 2~4 の CKD)の患者,または,尿中アルブミン/クレアチニン比が 300~5,000 で,eGFR が 60 mL/分/1.73 m2 以上(ステージ 1 または 2 の CKD)の患者を適格とした.患者にはレニン–アンジオテンシン系阻害薬による治療を行った.用量は無作為化の前に,製薬会社の添付文書記載の,忍容できない副作用を引き起こさない最大用量に調節された.主要転帰は,心血管系の原因による死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中,心不全による入院の複合とし,生存時間(time-to-event)解析で評価した.第 1 の副次的転帰は,腎不全,eGFR のベースラインから 40%以上の持続的な減少,腎臓が原因の死亡の複合とした.安全性は,試験担当医師が報告した有害事象として評価した.

結 果

7,437 例が無作為化された.解析対象の患者では,中央値 3.4 年の追跡期間中に,主要転帰イベントはフィネレノン群の 3,686 例中 458 例(12.4%),プラセボ群の 3,666 例中 519 例(14.2%)に発生し(ハザード比 0.87,95%信頼区間 [CI] 0.76~0.98,P=0.03),この利益は主に心不全による入院の発生率の低下によりもたらされた(ハザード比 0.71,95% CI 0.56~0.90).副次的複合転帰はフィネレノン群では 350 例(9.5%),プラセボ群では 395 例(10.8%)に発生した(ハザード比 0.87,95% CI 0.76~1.01).有害事象の全体的な発現頻度に群間で大きな差はなかった.高カリウム血症に関連する試験レジメン中止率は,フィネレノン(1.2%)のほうがプラセボ(0.4%)よりも高かった.

結 論

2 型糖尿病で,尿中アルブミンの中等度の上昇を伴うステージ 2~4 の CKD または尿中アルブミンの高度の上昇を伴うステージ 1 もしくは 2 の CKD を有する患者では,フィネレノン療法によって,心血管転帰がプラセボよりも改善した.(バイエル社から研究助成を受けた.FIGARO-DKD 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02545049)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 2252 - 63. )