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July 15, 2021 Vol. 385 No. 3

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グルココルチコイド抵抗性の慢性移植片対宿主病に対するルキソリチニブ
Ruxolitinib for Glucocorticoid-Refractory Chronic Graft-versus- Host Disease

R. Zeiser and Others

背景

慢性移植片対宿主病(GVHD)は同種造血幹細胞移植の主要な合併症であり,患者の約 50%でグルココルチコイドへの抵抗性または依存性を示す.慢性 GVHD の二次治療を評価する第 3 相無作為化試験から,確固としたデータは得られていない.後ろ向きの調査で,ヤヌスキナーゼ(JAK1–JAK2)阻害薬であるルキソリチニブが,グルココルチコイド抵抗性または依存性の慢性 GVHD の患者に有効である可能性を示した.

方 法

第 3 相非盲検無作為化試験で,中等度または重度のグルココルチコイド抵抗性または依存性の慢性 GVHD を有する 12 歳以上の患者を対象に,ルキソリチニブ 10 mg 1 日 2 回投与の有効性と安全性を,利用可能な最善の治療と考えられる,10 のよく用いられる治療選択肢のリストから試験担当医師が選択した治療(対照)と比較評価した.主要エンドポイントは,24 週の時点での全奏効(完全奏効または部分奏効)とした.主な副次的エンドポイントは,治療成功生存期間と,24 週の時点での修正 Lee 症状尺度スコアの改善とした.

結 果

329 例が無作為化され,165 例がルキソリチニブの投与を受ける群,164 例が対照治療を受ける群に割り付けられた.24 週の時点での全奏効割合は,ルキソリチニブ群のほうが対照群よりも高かった(49.7% 対 25.6%,オッズ比 2.99,P<0.001).ルキソリチニブ群では,対照群と比較して治療成功生存期間の中央値が長く(18.6 ヵ月超 対 5.7 ヵ月,ハザード比 0.37,P<0.001),症状に改善がみられる割合が高かった(24.2% 対 11.0%,オッズ比 2.62,P=0.001).24 週目までに発現したグレード 3 以上の有害事象でとくに頻度が高かった(10%以上に発現)のは,血小板減少(ルキソリチニブ群 15.2%,対照群 10.1%)と貧血(それぞれ 12.7%,7.6%)であった.サイトメガロウイルス感染の発生率と再活性化率は 2 群で同程度であった.

結 論

グルココルチコイド抵抗性または依存性の慢性 GVHD 患者は,ルキソリチニブによって,対照治療と比較して有意に全奏効割合が高くなり,治療成功生存期間が長くなり,症状に改善がみられる割合が高くなった.血小板減少と貧血の発現率はルキソリチニブのほうが高かった.(ノバルティス社,インサイト社から研究助成を受けた.REACH3 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03112603)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 228 - 38. )