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December 16, 2021 Vol. 385 No. 25

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リンパ節転移陽性乳癌に対する化学療法の利益を予測するための 21 遺伝子解析
21-Gene Assay to Inform Chemotherapy Benefit in Node- Positive Breast Cancer

K. Kalinsky and Others

背景

乳癌の 21 遺伝子検査に基づく再発スコアは,ホルモン受容体陽性,ヒト上皮成長因子受容体 2(HER2)陰性,腋窩リンパ節転移陰性の乳癌に対する化学療法の利益の予測に臨床で役立てられてきた.リンパ節転移陽性乳癌に対する,術後補助化学療法の利益の予測における再発スコアの役割は明らかにされていない.

方 法

前向き試験で,ホルモン受容体陽性 HER2 陰性乳癌,腋窩リンパ節転移 1~3 個,再発スコア(0~100 で,スコアが高いほど予後が不良であることを示す)25 以下の女性を,内分泌療法単独群と,化学療法+内分泌療法(化学内分泌療法)群に無作為に割り付けた.主要目的は,化学療法が無浸潤疾患生存に及ぼす影響と,その影響が再発スコアにより変化するかどうかを評価することであった.副次的評価項目は無遠隔再発生存などとした.

結 果

5,083 例(閉経前 33.2%,閉経後 66.8%)が無作為化され,5,018 例が試験に参加した.事前に規定した 3 回目の中間解析で,無浸潤疾患生存期間の延長に対する化学療法の利益が閉経の状態によって異なったため(化学療法の利益に関する閉経前の参加者と閉経後の参加者の比較について P=0.008),事前に規定した層別解析を行った.閉経後女性では,5 年無浸潤疾患生存率は内分泌療法単独群 91.9%,化学内分泌療法群 91.3%であり,化学療法の利益は認められなかった(浸潤疾患の再発・新たな原発癌 [乳癌またはその他の癌種]・死亡のハザード比 1.02,95%信頼区間 [CI] 0.82~1.26,P=0.89).閉経前女性では,5 年無浸潤疾患生存率は内分泌療法単独群 89.0%,化学内分泌療法群 93.9%であり(ハザード比 0.60,95% CI 0.43~0.83,P=0.002),無遠隔再発生存率についても化学内分泌療法群のほうが同様に高かった(ハザード比 0.58,95% CI 0.39~0.87,P=0.009).再発スコアが高いほど,化学療法の相対的利益が増加することはなかった.

結 論

リンパ節転移 1~3 個,再発スコア 25 以下の閉経前女性では,化学内分泌療法を受けた場合に,内分泌療法のみを受けた場合と比較して無浸潤疾患生存期間と無遠隔再発生存期間が長くなった.一方,同様の特徴を有する閉経後女性では,術後補助化学療法の利益は得られなかった.(米国国立がん研究所ほかから研究助成を受けた.RxPONDER 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01272037)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 2336 - 47. )