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July 22, 2021 Vol. 385 No. 4

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認知症関連精神症状に対するピマバンセリンの試験
Trial of Pimavanserin in Dementia-Related Psychosis

P.N. Tariot and Others

背景

神経変性疾患による認知症患者は,認知症に関連する精神症状(psychosis)を有することがある.経口 5-HT2A 受容体逆作動薬/拮抗薬であるピマバンセリン(pimavanserin)の,認知症のさまざまな原因に対する精神症状に及ぼす効果は明らかにされていない.

方 法

アルツハイマー病,パーキンソン病認知症,レビー小体型認知症,前頭側頭型認知症,血管性認知症のいずれかに関連する精神症状を有する患者を対象として,第 3 相二重盲検無作為化プラセボ対照治療中止試験を行った.ピマバンセリンを非盲検下で 12 週間投与した.8 週と 12 週の時点で,陽性症状評価尺度–幻覚・妄想(SAPS–H+D;スコアが高いほど精神症状が重症であることを示す)のスコアがベースラインから 30%以上低下し,臨床全般印象–改善度(CGI-I)スコアが 1(著明改善)または 2(中等度改善)であった患者を,26 週目までピマバンセリンを継続する群とプラセボを投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は,生存時間(time-to-event)解析で評価した精神症状の再発とし,SAPS–H+D スコアが 30%以上上昇かつ CGI-I スコアが 6(中等度悪化)または 7(著明悪化),認知症関連精神症状による入院,有効性の欠如による試験レジメンの中止または試験からの脱落,認知症関連精神症状に対する抗精神病薬の使用と定義した.

結 果

非盲検期に組み入れられた 392 例のうち,41 例は有効性が示されたため試験が中止されたことによる管理上の理由で試験から脱落した.残りの 351 例のうち 217 例(61.8%)で効果が持続し,105 例がピマバンセリン群,112 例がプラセボ群に割り付けられた.再発は,ピマバンセリン群の 95 例中 12 例(13%)とプラセボ群の 99 例中 28 例(28%)で認められた(ハザード比 0.35,95%信頼区間 0.17~0.73,P=0.005).二重盲検期間中,ピマバンセリン群の 105 例中 43 例(41.0%)とプラセボ群の 112 例中 41 例(36.6%)に有害事象が発現した.ピマバンセリン群では,頭痛,便秘,尿路感染症,無症候性 QT 延長が認められた.

結 論

有効性が示されたため早期に中止された試験で,認知症関連精神症状を有する患者のうちピマバンセリンの効果が認められた患者では,ピマバンセリンの投与を継続した場合に,中止した場合と比較して再発リスクが低かった.認知症関連精神症状に対するピマバンセリンの効果を確認するためには,より長期かつ大規模な試験が必要である.(アカディア・ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.HARMONY 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03325556)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 309 - 19. )