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July 1, 2021 Vol. 385 No. 1

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セリアック病に対するトランスグルタミナーゼ 2 阻害薬の無作為化試験
A Randomized Trial of a Transglutaminase 2 Inhibitor for Celiac Disease

D. Schuppan and Others

背景

セリアック病では,小腸のトランスグルタミナーゼ 2 がグルテンペプチド中のグルタミン残基の脱アミド化をもたらし,それによって T 細胞刺激が増強され,粘膜傷害が引き起こされる.トランスグルタミナーゼ 2 の阻害は,セリアック病の治療法となる可能性がある.

方 法

概念実証(proof-of-concept)試験で,セリアック病が良好にコントロールされ,グルテンチャレンジを毎日受ける成人を対象に,3 用量の選択的トランスグルタミナーゼ 2 阻害薬 ZED1227 による 6 週間の治療の有効性と安全性を,プラセボと比較評価した.主要エンドポイントはグルテンが引き起こす粘膜傷害の軽減とし,絨毛陰窩比で測定した.副次的エンドポイントは,上皮内リンパ球密度,セリアック病症状指標スコア,(QOL 評価を目的とした)セリアック病質問票スコアなどであった.

結 果

ZED1227 の 10 mg 群に割り付けられた 41 例,50 mg 群に割り付けられた 41 例,100 mg 群に割り付けられた 41 例,プラセボ群に割り付けられた 40 例のうち,主要エンドポイントの評価に十分な十二指腸生検検体が得られたのは,それぞれ 35 例,39 例,38 例,30 例であった.ZED1227 による治療は,3 用量のいずれにおいても,グルテンが引き起こす十二指腸粘膜傷害を軽減した.絨毛陰窩比の平均値のベースラインから 6 週目までの変化量のプラセボとの差は,10 mg 群で 0.44(95%信頼区間 [CI] 0.15~0.73)(P=0.001),50 mg 群で 0.49(95% CI 0.20~0.77)(P<0.001),100 mg 群で 0.48(95% CI 0.20~0.77)(P<0.001)と推定された.上皮内リンパ球密度の変化量のプラセボとの差は,上皮細胞 100 個あたり,10 mg 群で -2.7 個(95% CI -7.6~2.2),50 mg 群で -4.2 個(95% CI -8.9~0.6),100 mg 群で -9.6 個(95% CI -14.4~-4.8)と推定された.100 mg の用量の使用は,症状スコアと QOL スコアを改善した可能性がある.とくに頻度の高かった有害事象は,頭痛,悪心,下痢,嘔吐,腹痛であり,発現率は全群で同程度であった.100 mg 群の 40 例中 3 例(8%)に皮疹が出現した.

結 論

今回の予備的試験では,セリアック病患者に対するZED1227 による治療は,グルテンが引き起こす十二指腸粘膜傷害を低減させた.(ドクターフォーク ファーマ社から研究助成を受けた.CEC-3 試験:EudraCT 登録番号 2017-002241-30)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 35 - 45. )