The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

July 29, 2021 Vol. 385 No. 5

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

先天性サイトメガロウイルス感染症を予防するための高力価免疫グロブリンの試験
A Trial of Hyperimmune Globulin to Prevent Congenital Cytomegalovirus Infection

B.L. Hughes and Others

背景

妊娠中のサイトメガロウイルス(CMV)初感染には,先天性感染症や重度の後遺症を生じる可能性のリスクがある.先天性 CMV 感染を予防するための確立された介入はない.

方 法

多施設共同二重盲検試験で,妊娠 24 週より前に CMV 初感染が診断された妊娠女性を,CMV 高力価免疫グロブリン(100 mg/kg 体重)を分娩まで月 1 回点滴静注する群と,マッチさせたプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要転帰は,先天性 CMV 感染症と,胎児または新生児の CMV 検査を行わなかった場合の胎児・新生児死亡の複合とした.

結 果

2012~18 年に,206,082 例の妊娠女性が,妊娠 23 週より前に CMV 初感染のスクリーニングを受けた.検査で陽性であった 712 例(0.35%)のうち,399 例(56%)が無作為化された.試験は無益性のため早期に中止された.394 例の主要転帰のデータを入手しえた.主要転帰イベントは,高力価免疫グロブリンの投与を受けた参加者 203 例中 46 例(22.7%)の胎児または新生児と,プラセボ投与を受けた参加者 191 例中 37 例(19.4%)の胎児または新生児に発生した(相対リスク 1.17,95%信頼区間 [CI] 0.80~1.72,P=0.42).死亡は高力価免疫グロブリン群の胎児または新生児の 4.9%とプラセボ群の胎児または新生児の 2.6%に発生し(相対リスク 1.88,95% CI 0.66~5.41),早産はそれぞれ 12.2%と 8.3%(相対リスク 1.47,95% CI 0.81~2.67)に発生し,出生時体重が 5 パーセンタイル未満であったのは 10.3%と 5.4%であった(相対リスク 1.92,95% CI 0.92~3.99).高力価免疫グロブリン群の参加者 1 例で,初回投与時に重度のアレルギー反応が出現した.高力価免疫グロブリンの投与を受けた参加者では,静注中の頭痛と悪寒戦慄の発現率が,プラセボ投与を受けた参加者よりも高かった.

結 論

妊娠女性において,妊娠 24 週より前に開始した CMV 高力価免疫グロブリンの投与は,プラセボ投与と比較して先天性 CMV 感染症および周産期死亡の複合の発生率を低下させなかった.(ユニス・ケネディ・シュライバー米国国立小児保健・人間発達研究所,米国国立先進トランスレーショナル科学センターから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01376778)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 436 - 44. )