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September 2, 2021 Vol. 385 No. 10

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2 型糖尿病に対するエフペグレナチド投与による心血管転帰と腎転帰
Cardiovascular and Renal Outcomes with Efpeglenatide in Type 2 Diabetes

H.C. Gerstein and Others

背景

ヒトグルカゴン様ペプチド 1(GLP-1)と構造的に類似している 4 つの GLP-1 受容体作動薬は,2 型糖尿病患者の有害心血管イベントのリスクを低下させることが示されている.エキセンジンを主要構造とする GLP-1 受容体作動薬エフペグレナチド(efpeglenatide)の,有害心血管イベントのリスクも高い 2 型糖尿病患者の心血管転帰と腎転帰に対する効果は不明である.

方 法

28 ヵ国 344 施設で行われた無作為化プラセボ対照試験で,2 型糖尿病を有し,心血管疾患の既往歴または腎疾患の現病歴(推算糸球体濾過量が 25.0~59.9 mL/分/1.73 m2 体表面積と定義)があり,その他の心血管危険因子を少なくとも 1 つ有する参加者を対象に,エフペグレナチドを評価した.参加者を,エフペグレナチド 4 mg の皮下注射を毎週行う群,エフペグレナチド 6 mg の皮下注射を毎週行う群,プラセボの投与を行う群に 1:1:1 の割合で無作為に割り付けた.無作為化は,ナトリウム–グルコース共輸送体 2 阻害薬の使用で層別化して行った.主要転帰は,主要有害心血管イベント(MACE;非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中,心血管系の原因による死亡または原因不明の死亡の複合)の初回発生とした.

結 果

4,076 例を組み入れ,2,717 例をエフペグレナチド(4 mg または 6 mg)を投与する群,1,359 例をプラセボを投与する群に割り付けた.中央値 1.81 年の追跡期間中に,新規 MACE は,エフペグレナチド群の 189 例(7.0%)(100 人年あたり 3.9 件)と,プラセボ群の 125 例(9.2%)(100 人年あたり 5.3 件)に発生した(ハザード比 0.73,95%信頼区間 [CI] 0.58~0.92,非劣性の P<0.001,優越性の P=0.007).複合腎転帰イベント(腎機能の低下または顕性アルブミン尿)は,エフペグレナチド群の 353 例(13.0%)とプラセボ群の 250 例(18.4%)に発生した(ハザード比 0.68,95% CI 0.57~0.79,P<0.001).下痢,便秘,悪心,嘔吐,腹部膨満の発現頻度は,エフペグレナチドのほうがプラセボよりも高かった.

結 論

2 型糖尿病を有し,心血管疾患の既往歴または腎疾患の現病歴があり,その他の心血管危険因子を少なくとも 1 つ有する参加者を対象としたこの試験では,心血管イベントのリスクは,エフペグレナチド 4 mg または 6 mg の皮下注射を毎週受けた群のほうが,プラセボの投与を受けた群よりも低かった.(サノフィ社から研究助成を受けた.AMPLITUDE-O 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03496298)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 896 - 907. )