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June 9, 2022 Vol. 386 No. 23

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SARS-CoV-2 に対する自然免疫とハイブリッド免疫の防御効果と減弱
Protection and Waning of Natural and Hybrid Immunity to SARS-CoV-2

Y. Goldberg and Others

背景

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)への感染は,再感染に対する自然免疫を付与する.最近の研究では,BNT162b2 ワクチンによる免疫は減弱することが示されている.自然免疫と,ハイブリッド免疫(過去の感染とワクチン接種の両方から付与される免疫)の経時的変化は明らかにされていない.

方 法

イスラエル保健省のデータベースを用いて,過去に SARS-CoV-2 に感染した人,新型コロナウイルス感染症(Covid-19)ワクチンの接種を受けた人すべてについて,B.1.617.2 変異株(デルタ株)が優勢であった 2021 年 8 月~9 月のデータを抽出した.交絡因子を補正したポアソン回帰モデルを用いて,感染の発生率を,最後の免疫付与イベント(感染またはワクチン接種)後の経過時間の関数として比較した.

結 果

100,000 リスク人日あたりの SARS-CoV-2 感染の症例数(補正後の発生率)は,BNT162b2 ワクチン接種後の経過時間,または過去の感染後の経過時間に伴って増加した.感染から回復したワクチン未接種のコホートでは,補正後の発生率は感染後 4 ヵ月以上 6 ヵ月未満の人で 10.5 であり,感染後 1 年以上の人では 30.2 に上昇した.過去に感染し,その後ワクチン接種を 1 回受けていたコホートでは,補正後の発生率は接種後 2 ヵ月未満の人で 3.7 と低かったが,接種後 6 ヵ月以上の人では 11.6 に上昇した.感染歴がなくワクチン接種を 2 回受けていたコホートでは,補正後の発生率は接種後 2 ヵ月未満の人で 21.1 であり,接種後 6 ヵ月以上の人では 88.9 に上昇した.

結 論

過去に SARS-CoV-2 に感染した人では(ワクチン接種を受けていたかどうか,また,感染前に 1 回接種を受けたか,感染後に 1 回接種を受けたかにかかわらず),再感染に対する防御効果は,最後の免疫付与イベントから経時的に低下した.しかしその防御効果は,過去に感染していない人の 2 回目のワクチン接種後,同じ時間が経過した時点での防御効果よりも高かった.感染後のワクチンの 1 回接種は,再感染に対する防御効果を強化した.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 2201 - 12. )