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February 10, 2022 Vol. 386 No. 6

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大腿骨頸部内側骨折に対するセメント使用人工骨頭置換術とセメント非使用人工骨頭置換術との比較
Cemented or Uncemented Hemiarthroplasty for Intracapsular Hip Fracture

M.A. Fernandez and Others

背景

大腿骨近位部骨折に対する人工骨頭置換術における骨セメントの使用については議論がある.セメント使用人工骨頭置換術と,最新のセメント非使用人工骨頭置換術とで比較した術後 QOL に関するデータは限られている.

方 法

60 歳以上の大腿骨頸部内側骨折の患者を対象に,セメント使用人工骨頭置換術とセメント非使用人工骨頭置換術とを比較する多施設共同無作為化比較試験を行った.主要転帰は,無作為化後 4 ヵ月の時点での,EuroQol 5 項目(EQ-5D)質問票の効用値を用いて測定した健康関連 QOL とした(効用値の範囲は -0.594~1 で,高いほど QOL が良好であることを示す;臨床的に重要な最小の差 0.050~0.075).

結 果

610 例がセメント使用人工骨頭置換術を受ける群,615 例が最新のセメント非使用人工骨頭置換術を受ける群に割り付けられた.4 ヵ月の時点での追跡データは,患者の 71.6%について得られた.EQ-5D 効用値の平均は,セメント使用群では 0.371,セメント非使用群では 0.315 であった(補正後の差 0.055,95%信頼区間 [CI] 0.009~0.101,P=0.02).1 ヵ月の時点での群間差は 4 ヵ月の時点と同程度であったが,12 ヵ月の時点での群間差は 4 ヵ月の時点よりも小さかった.12 ヵ月の時点での死亡率は,セメント使用群では 23.9%,セメント非使用群では 27.8%であった(死亡のオッズ比 0.80,95% CI 0.62~1.05).人工関節周囲骨折はそれぞれの群で 0.5%と 2.1%に発生した(オッズ比 [セメント非使用群 対 セメント使用群] 4.37,95% CI 1.19~24.00).その他の合併症の発生率は 2 群で同程度であった.

結 論

60 歳以上の大腿骨頸部内側骨折の患者において,セメント使用人工骨頭置換術では,セメント非使用人工骨頭置換術よりも,QOL がわずかではあるが有意に良好であり,人工関節周囲骨折のリスクが低かった.(英国国立医療研究機構から研究助成を受けた.WHiTE 5 試験:ISRCTN 登録番号 ISRCTN18393176)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 521 - 30. )