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February 24, 2022 Vol. 386 No. 8

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先天性ジカ症候群による死亡 ― ブラジルにおける全国コホート研究
Mortality from Congenital Zika Syndrome — Nationwide Cohort Study in Brazil

E.S. Paixao and Others

背景

ジカウイルスへの出生前曝露は催奇形作用をもつ可能性があり,先天性ジカ症候群と呼ばれる広範な症状を発症する.先天性ジカ症候群の患児の生存に関するデータは限られている.

方 法

人口ベースのコホート研究で,先天性ジカ症候群をもって出生した児ともたずに出生した児の死亡率を,ブラジルで通常収集されており,他のデータとリンクされている 2015 年 1 月~2018 年 12 月のデータを用いて推定し,比較した.Kaplan–Meier 曲線と生存モデルは,交絡について調整し,在胎期間,出生体重,在胎不当過小(SGA)の有無で層別化して評価した.

結 果

11,481,215 例の生産児を月齢 36 ヵ月まで追跡した.死亡率は,先天性ジカ症候群を有する生産児では 1,000 人年あたり 52.6 件(95%信頼区間 [CI] 47.6~58.0)であったのに対し,有しない生産児では 1,000 人年あたり 5.6 件(95% CI 5.6~5.7)であった.先天性ジカ症候群を有する生産児の,有しない生産児と比較した死亡率比は 11.3(95% CI 10.2~12.4)であった.在胎 32 週未満で出生した乳児や,出生体重が 1,500 g 未満の乳児では,先天性ジカ症候群の有無にかかわらず死亡のリスクが同程度であった.正期産の乳児では,先天性ジカ症候群を有する場合に死亡する確率が,有しない場合の 14.3 倍(95% CI 12.4~16.4)であった(死亡率は 1,000 人年あたり 38.4 件 対 2.7 件).出生体重が 2,500 g 以上の乳児では,先天性ジカ症候群を有する場合に死亡する確率が,有しない場合の 12.9 倍(95% CI 10.9~15.3)であった(死亡率は 1,000 人年あたり 32.6 件 対 2.5 件).先天性ジカ症候群の生産児では,記録された死因として,先天異常,神経系疾患,感染症の負荷が,有しない生産児よりも高かった.

結 論

死亡リスクは先天性ジカ症候群を有する生産児のほうが,有しない生産児よりも高く,そのリスクは生後 3 年間持続した.(ブラジル保健省ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 757 - 67. )