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March 10, 2022 Vol. 386 No. 10

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Ad26.COV2.S ワクチンによる初回免疫後のブースター接種の免疫原性と反応原性
Immunogenicity and Reactogenicity of Vaccine Boosters after Ad26.COV2.S Priming

R.S.G. Sablerolles and Others

背景

Ad26.COV2.S は,新型コロナウイルス感染症(Covid-19)に対する単回接種のレジメンとして承認されたワクチンであり,重症 Covid-19 の予防に有効であることが示されている.しかし,このワクチンによって誘導される重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)スパイク蛋白(S)特異的抗体価は,メッセンジャー RNA(mRNA)ベースのワクチンと比較して低い.Ad26.COV2.S ワクチンにより初回免疫を受けた人における,同種ワクチンまたは異種ワクチンによるブースター接種の免疫原性と反応原性は明らかでない.

方 法

Ad26.COV2.S ワクチンにより初回免疫を受けた医療従事者を対象とした単盲検多施設共同無作為化比較試験で,同種ワクチンまたは異種ワクチンによるブースター接種後 28 日の時点での免疫原性と反応原性を評価した.参加者を,ブースター接種なし,Ad26.COV2.S ワクチンによるブースター接種,mRNA-1273 ワクチンによるブースター接種,BNT162b2 ワクチンによるブースター接種に割り付けた.主要エンドポイントは S 特異的結合抗体価とし,副次的エンドポイントは中和抗体価,S 特異的 T 細胞応答,反応原性(副反応)とした.mRNA-1273 ワクチンによるブースター接種と BNT162b2 ワクチンによるブースター接種とを比較するため,事後解析を行った.

結 果

同種ワクチンまたは異種ワクチンによるブースター接種により,Ad26.COV2.S ワクチンの単回接種(ブースター接種なし)と比較して,高い S 特異的結合抗体価,中和抗体価,T 細胞応答が得られた.結合抗体の増加は,mRNA ベースのワクチンを含む異種ワクチンレジメンが,同種ワクチンによるブースター接種よりも有意に大きかった.mRNA-1273 ワクチンによるブースター接種は,免疫原性がもっとも高く,BNT162b2 ワクチン,Ad26.COV2.S ワクチンによるブースター接種よりも高い反応原性を伴った.局所反応および全身反応は大部分が軽度~中等度であり,ブースター接種後最初の 2 日間にみられた.

結 論

Ad26.COV2.S ワクチンにより初回免疫を受けた医療従事者において,Ad26.COV2.S ワクチンまたは mRNA ベースのワクチンによるブースター接種は,忍容可能な安全性プロファイルを示し,免疫原性を有していた.mRNA ベースのワクチンによるブースター接種では,もっとも強い反応が得られた.利用可能ないずれのワクチンを用いたブースター接種も,ブースター接種なしと比較して良好な結果が得られた.(オランダ保健研究開発機構 ZonMw から研究助成を受けた.SWITCH 試験:ClinicalTrials.gov 番号 NCT04927936)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 951 - 63. )