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September 29, 2022 Vol. 387 No. 13

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骨髄腫に対する GPRC5D を標的とした CAR-T 細胞
GPRC5D-Targeted CAR T Cells for Myeloma

S. Mailankody and Others

背景

B 細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするキメラ抗原受容体(CAR)T 細胞療法は,進行した骨髄腫患者で奏効しているが,再発の頻度が高い.G 蛋白質共役受容体クラス C,グループ 5,メンバー D(GPRC5D)は,多発性骨髄腫の免疫療法の標的として同定されている.前臨床試験では,BCMA 抗原逃避モデルにおける活性など,GPRC5D を標的とする CAR-T 細胞の有効性が示されている.

方 法

第 1 相用量漸増試験で,BCMA CAR-T 細胞療法後に再発した患者を含む,治療歴の多い多発性骨髄腫患者に対し,GPRC5D を標的とする CAR-T 細胞療法(MCARH109)を,25×106 個,50×106 個,150×106 個,450×106 個の 4 段階の用量で投与した.

結 果

17 例が登録され,MCARH109 療法を受けた.最大耐用量は CAR-T 細胞 150×106 個と同定された.450×106 個の用量では,1 例にグレード 4 のサイトカイン放出症候群と免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)が発現し,2 例にグレード 3 の原因不明の小脳障害が発現した.25×106 個~150×106 個の投与を受けた 12 例には,小脳障害,グレードを問わない ICANS,グレード 3 以上のサイトカイン放出症候群は発現しなかった.奏効は,コホート全体の 71%と,25×106 個~150×106 個の投与を受けた患者の 58%で報告された.奏効が得られた患者には BCMA 療法歴を有する患者も含まれており,BCMA 療法歴を有する患者は,コホート全体では 10 例中 7 例で奏効が観察され,25×106 個~150×106 個の投与を受けた 6 例中 3 例で奏効が観察された.

結 論

GPRC5D を標的とする CAR-T 細胞療法(MCARH109)の今回の試験の結果から,GPRC5D は多発性骨髄腫の免疫療法の有効な標的であることが確認された.(ジュノ・セラピューティクス社/ブリストル・マイヤーズ スクイブ社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04555551)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 1196 - 206. )