October 13, 2022 Vol. 387 No. 15
虚血性左室機能障害に対する経皮的血行再建術
Percutaneous Revascularization for Ischemic Left Ventricular Dysfunction
D. Perera and Others
重度の虚血性左室収縮機能障害患者に対して,最適な内科的治療(個別に調節した薬物や医療機器を用いた心不全治療)に加えて経皮的冠動脈インターベンション(PCI)による血行再建を行うことで,最適な内科的治療のみを行った場合と比較して,無イベント生存期間が延長し,左室機能が改善するかどうかは明らかにされていない
左室駆出率が 35%以下で,PCI 適応の広範な冠動脈疾患を有し,心筋生存能を認める患者を,PCI+最適な内科的治療を行う戦略(PCI 群)と,最適な内科的治療のみを行う戦略(最適な内科的治療群)に無作為に割り付けた.主要転帰は,全死因死亡または心不全による入院の複合とした.主な副次的転帰は,6 ヵ月および 12 ヵ月の時点での左室駆出率と,QOL スコアとした.
700 例が無作為化され,347 例が PCI 群,353 例が最適な内科的治療群に割り付けられた.中央値で 41 ヵ月の期間中,主要転帰イベントは PCI 群の 129 例(37.2%)と,最適な内科的治療群の 134 例(38.0%)に発生した(ハザード比 0.99,95%信頼区間 [CI] 0.78~1.27,P=0.96).左室駆出率は,6 ヵ月の時点で 2 群で同程度であり(平均差 -1.6 パーセントポイント,95% CI -3.7~0.5),12 ヵ月の時点でも同程度であった(平均差 0.9 パーセントポイント,95% CI -1.7~3.4).6 ヵ月および 12 ヵ月の時点での QOL スコアは,PCI 群のほうが良好と思われたが,24 ヵ月の時点で差は減少していた.
重度の虚血性左室収縮機能障害を有し,最適な内科的治療を受けた患者に対して,PCI による血行再建を行っても,全死因死亡率と心不全による入院率は低下しなかった.(英国国立健康研究所 医療技術評価プログラムから研究助成を受けた.REVIVEDBCIS2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01920048)