October 27, 2022 Vol. 387 No. 17
大腸内視鏡スクリーニングが大腸癌のリスクと大腸癌関連死のリスクに及ぼす効果
Effect of Colonoscopy Screening on Risks of Colorectal Cancer and Related Death
M. Bretthauer and Others
大腸内視鏡検査は,大腸癌を検出するためのスクリーニング法として広く用いられているが,大腸癌のリスクと大腸癌関連死のリスクに対する効果は明らかにされていない.
2009~14 年に,ポーランド,ノルウェー,スウェーデン,オランダの住民登録から抽出した健康と思われる 55~64 歳の男女において,実用的無作為化試験を行った.参加者を,1 回の大腸内視鏡スクリーニングの案内を行う群(案内群)と,案内もスクリーニングも行わない群(通常診療群)に 1:2 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は大腸癌のリスクと大腸癌関連死のリスクとし,副次的評価項目は全死因死亡とした.
ポーランド,ノルウェー,スウェーデンの 84,585 例の追跡データを入手しえた.内訳は,案内群が 28,220 例で,うち 11,843 例(42.0%)がスクリーニングを受け,通常診療群が 56,365 例であった.ポリープ切除に伴う大出血は 15 例に発生した.大腸内視鏡検査後 30 日以内に発生した穿孔またはスクリーニング関連死はなかった.中央値で 10 年の追跡期間中,大腸癌が診断されたのは案内群では 259 例であったのに対し,通常診療群では 622 例であった.intention-to-screen 解析で,10 年の時点での大腸癌のリスクは,案内群 0.98%,通常診療群 1.20%で,リスク減少は 18%であった(リスク比 0.82,95%信頼区間 [CI] 0.70~0.93).大腸癌関連死のリスクは,案内群 0.28%,通常診療群 0.31%であった(リスク比 0.90,95% CI 0.64~1.16).大腸癌を 1 例予防するために必要なスクリーニング案内者数は,455 例(95% CI 270~1,429)であった.全死因死亡のリスクは,案内群 11.03%,通常診療群 11.04%であった(リスク比 0.99,95% CI 0.96~1.04).
今回の無作為化試験では,10 年の時点での大腸癌のリスクは,大腸内視鏡スクリーニングの案内を受けた参加者のほうが,案内を受けなかった参加者よりも低かった.(ノルウェー研究評議会ほかから研究助成を受けた.NordICC 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00883792)