November 3, 2022 Vol. 387 No. 18
小児の高リスクホジキンリンパ腫に対するブレンツキシマブ ベドチン併用化学療法
Brentuximab Vedotin with Chemotherapy in Pediatric High-Risk Hodgkin’s Lymphoma
S.M. Castellino and Others
進行期ホジキンリンパ腫の成人では,CD30 を標的とする抗体薬物複合体ブレンツキシマブ ベドチンを多剤化学療法と併用した場合に,化学療法単独と比較して有効性が高いが,毒性も高いことが示されている.この標的治療アプローチの,ホジキンリンパ腫の小児・思春期児における有効性は明らかにされていない.
ステージ IIB で巨大腫瘤を有するか,ステージ IIIB,IVA,IVB いずれかの未治療のホジキンリンパ腫を有する 2~21 歳の患者を対象として,非盲検多施設共同無作為化第 3 相試験を行った.患者を,ブレンツキシマブ ベドチンと,ドキソルビシン,ビンクリスチン,エトポシド,プレドニゾン(prednisone),シクロホスファミドの投与を,21 日を 1 サイクルとして 5 サイクル行う群(ブレンツキシマブ ベドチン群)と,小児の標準レジメンであるドキソルビシン,ブレオマイシン,ビンクリスチン,エトポシド,プレドニゾン,シクロホスファミドを投与する群(標準治療群)に割り付けた.2 サイクル終了後に,中央で陽電子放射断層撮影(PET)–CT を再検討し,反応の遅い病変を同定した.反応の遅い病変は,5 点尺度 4 点または 5 点(1~3 点は反応の早い病変であることを示す)と定義した.反応の遅い病変と,診断時に認められた大きな縦隔リンパ節腫脹には,5 サイクルの治療後に病変部位の放射線療法を行った.主要評価項目は無イベント生存期間とし,増悪,再発,別の悪性新生物の発生,死亡のいずれかが認められるまでの期間と定義した.安全性と全生存期間を評価した.
153 施設で登録された 600 例のうち,587 例が適格であった.追跡期間中央値 42.1 ヵ月(範囲 0.1~80.9)の時点で,3 年無イベント生存率はブレンツキシマブ ベドチン群では 92.1%(95%信頼区間 [CI] 88.4~94.7)であったのに対し,標準治療群では 82.5%(95% CI 77.4~86.5)であった(イベントまたは死亡のハザード比 0.41,95% CI 0.25~0.67,P<0.001).病変部位の放射線療法を受けた割合に,ブレンツキシマブ ベドチン群と標準治療群とで大きな差はなかった(それぞれ 53.4%,56.8%).毒性は 2 群で同様であった.3 年全生存率は,ブレンツキシマブ ベドチン群で 99.3%(95% CI 97.3~99.8),標準治療群で 98.5%(95% CI 96.0~99.4)であった.
標準化学療法にブレンツキシマブ ベドチンを追加することで,イベントまたは死亡のリスクが 59%低下するという優れた有効性が示され,3 年の時点での毒性の発現率に上昇はみられなかった.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.AHOD1331 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02166463)