December 29, 2022 Vol. 387 No. 26
ザイールエボラウイルス病ワクチンの無作為化試験
Randomized Trial of Vaccines for Zaire Ebola Virus Disease
PREVAC Study Team
ザイールエボラウイルス病の予防には 2 つのワクチンが使用されているが,免疫応答の速度,持続性,安全性に疑問が残っている.
成人,小児をそれぞれ対象とした 2 件の無作為化プラセボ対照試験を行い,ザイールエボラウイルス病に対する次の 3 つのワクチンレジメンの安全性と免疫応答を評価した:最初に Ad26.ZEBOV を接種し,56 日後に 2 回目として MVA-BN-Filo を接種するレジメン(Ad26–MVA 群),最初に rVSVΔG-ZEBOV-GP を接種し,56 日後にプラセボを接種するレジメン(rVSV 群),最初に rVSVΔG-ZEBOV-GP を接種し,56 日後に rVSVΔG-ZEBOV-GP をブースターとして接種するレジメン(rVSV–ブースター群).主要エンドポイントは 12 ヵ月の時点での抗体反応とし,12 ヵ月の時点で,抗体濃度が 200 ELISA 単位(EU)/mL 以上,かつベースラインから 4 倍以上上昇していることと定義した.
成人 1,400 例,小児 1,401 例が無作為化された.成人と小児のいずれにおいても,注射部位反応と症状(発熱,頭痛など)の発現率は,初回のワクチン接種後 1 週間と,2 回目またはブースター接種後 1 週間のほうが,プラセボ接種後 1 週間よりも高かったが,その後は高くなかった.これらの事象の大部分は低グレードであった.12 ヵ月の時点で,抗体反応は,Ad26–MVA 群では成人の 41%(抗体価 401 EU/mL)と小児の 78%(抗体価 828 EU/mL)に認められ,rVSV 群ではそれぞれ 76%(抗体価 992 EU/mL)と 87%(抗体価 1,415 EU/mL),rVSV–ブースター群ではそれぞれ 81%(抗体価 1,037 EU/mL)と 93%(抗体価 1,745 EU/mL),プラセボ群ではそれぞれ 3%(抗体価 93 EU/mL)と 4%(抗体価 67 EU/mL)に認められた(ワクチンとプラセボとのすべての比較で P<0.001).成人,小児とも,ワクチンによる抗体反応は,14 日目以降はプラセボによる抗体反応とは異なっていた.
今回の試験では,安全性の懸念は認められなかった.3 つのワクチンレジメンのいずれについても,14 日目から 12 ヵ月目まで免疫応答が認められた.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.PREVAC 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02876328;EudraCT 登録番号 2017-001798-18,2017-001798-18/3rd;Pan African Clinical Trials Registry 番号 PACTR201712002760250)