二次性僧帽弁閉鎖不全症に対する経カテーテル修復術後 5 年間の追跡調査
Five-Year Follow-up after Transcatheter Repair of Secondary Mitral Regurgitation
G.W. Stone and Others
心不全患者の重症僧帽弁閉鎖不全症に対して,経カテーテル edge-to-edge 修復術を行った場合の転帰を,ガイドラインに基づく内科的治療のみを最大用量で行った場合の転帰と比較した試験の,5 年間の追跡データが利用可能となった.
米国とカナダの 78 施設で,心不全に中等症~重症または重症の二次性僧帽弁閉鎖不全症を合併し,ガイドラインに基づく内科的治療を最大用量で行っても症状が持続している患者を,経カテーテル edge-to-edge 修復術+内科的治療を行う群(デバイス群)と,内科的治療のみを行う群(対照群)に無作為に割り付けた.主要有効性エンドポイントは,2 年間の追跡期間中の心不全による全入院であった.その他の転帰のうち,心不全による全入院の年間発生率,全死因死亡率,死亡または心不全による入院のリスク,安全性を,5 年間評価した.
試験に登録された 614 例のうち,302 例がデバイス群,312 例が対照群に割り付けられた.5 年間の追跡における心不全による入院の年間発生率は,デバイス群 33.1%/年,対照群 57.2%/年であった(ハザード比 0.53,95%信頼区間 [CI] 0.41~0.68).全死因死亡率は,デバイス群 57.3%,対照群 67.2%であった(ハザード比 0.72,95% CI 0.58~0.89).死亡または心不全による入院は,デバイス群では 73.6%に発生し,対照群では 91.5%に発生した(ハザード比 0.53,95% CI 0.44~0.64).修復術を受けた 293 例のうち,デバイス特異的な安全性イベントは 4 例(1.4%)に発生し,いずれも術後 30 日以内の発生であった.
心不全に中等症~重症または重症の二次性僧帽弁閉鎖不全症を合併し,ガイドラインに基づく内科的治療を行っても症状が持続している患者において,僧帽弁の経カテーテル edge-to-edge 修復術は安全であり,内科的治療単独と比較して,5 年間の追跡期間中の心不全による入院率と全死因死亡率が低くなった.(アボット社から研究助成を受けた.COAPT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01626079)