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January 19, 2023 Vol. 388 No. 3

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55 歳超に対する 2 価のオミクロン株 BA.1 系統対応 BNT162b2 ワクチンのブースター接種
Bivalent Omicron BA.1–Adapted BNT162b2 Booster in Adults Older than 55 Years

P. Winokur and Others

背景

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)の免疫回避変異株の出現により,新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の防御には,変異配列に対応したワクチンを使用する必要がある.

方 法

現在進行中の第 3 相試験で,過去に BNT162b2 ワクチン 30 μg の接種を 3 回受けた 55 歳超の成人を,BNT162b2 を 30 μg または 60 μg 接種する群,B.1.1.529 変異株(オミクロン株)BA.1 系統対応 BNT162b2(BA.1 対応 1 価ワクチン)を 30 μg または 60 μg 接種する群,BA.1 対応 2 価ワクチンを 30 μg(BNT162b2 15 μg+BA.1 対応 1 価ワクチン 15 μg)または 60 μg(BNT162b2 30 μg+BA.1 対応 1 価ワクチン 30 μg)接種する群に無作為に割り付けた.主要目的は,BA.1 対応ワクチンの,BNT162b2(30 μg)に対する優越性(BA.1 に対する 50%中和抗体価 [NT50] に関して)と非劣性(血清反応に関して)を判定することであった.副次的目的は,祖先株に対する中和活性に関して,BA.1 対応 2 価ワクチンの BNT162b2(30 μg)に対する非劣性を確認することであった.探索的解析として,オミクロン株の亜系統 BA.4,BA.5,BA.2.75 に対する免疫応答を評価した.

結 果

1,846 例が無作為化された.ワクチン接種後 1 ヵ月の時点で,BA.1 対応 2 価ワクチン(30 μg,60 μg の両用量)と BA.1 対応 1 価ワクチン(60 μg)は,BA.1 に対して,BNT162b2(30 μg)よりも優れた中和活性を示し,NT50 の幾何平均比(GMR)は,それぞれ 1.56(95%信頼区間 [CI] 1.17~2.08),1.97(95% CI 1.45~2.68),3.15(95% CI 2.38~4.16)であった.BA.1 対応 2 価ワクチン(両用量)と BA.1 対応 1 価ワクチン(60 μg)は,BA.1 に対する血清反応に関しても,BNT162b2(30 μg)に対して非劣性であり,群間差は 10.9~29.1 パーセントポイントであった.BA.1 対応 2 価ワクチン(両用量)は,祖先株に対する中和活性に関して,BNT162b2(30 μg)に対して非劣性であり,NT50 GMR は 30 μg で 0.99(95% CI 0.82~1.20),60 μg で 1.30(95% CI 1.07~1.58)であった.BA.4・BA.5,BA.2.75 に対する中和抗体価は,BA.1 対応 2 価ワクチン 30 μg のほうが,BNT162b2 30 μg よりも数値上高かった.安全性プロファイルは,BA.1 対応 1 価ワクチン,2 価ワクチンのいずれの用量でも,BNT162b2(30 μg)と同様であった.有害事象の頻度は,BA.1 対応 1 価ワクチン 30 μg 群(8.5%)と BA.1 対応 2 価ワクチン 60 μg 群(10.4%)が,その他の群(3.6~6.6%)よりも高かった.

結 論

1 価または 2 価のオミクロン株 BA.1 系統対応ワクチン候補は,BNT162b2(30 μg)と同様の安全性プロファイルを示し,祖先株とオミクロン株 BA.1 系統に対して顕著な中和反応を誘導し,それより程度は低かったが,BA.4,BA.5,BA.2.75 系統も中和した.(ビオンテック社,ファイザー社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04955626)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 214 - 27. )