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January 26, 2023 Vol. 388 No. 4

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難治性院外心停止に対する早期体外循環式心肺蘇生
Early Extracorporeal CPR for Refractory Out-of-Hospital Cardiac Arrest

M.M. Suverein and Others

背景

体外循環式心肺蘇生(CPR)は,自己心拍が再開しない患者の循環と酸素化を回復させる.難治性院外心停止に対する体外循環式 CPR が,良好な神経学的転帰を伴う生存に及ぼす効果に関するエビデンスは決定的ではない.

方 法

オランダで行われた多施設共同無作為化比較試験で,院外心停止患者を,体外循環式 CPR を行う群と,従来の CPR(標準的な二次救命処置)を行う群に割り付けた.18~70 歳で,居合わせた人による CPR を受け,初期に心室性不整脈が認められ,CPR 開始後 15 分以内に自己心拍が再開しなかった患者を適格とした.主要転帰は良好な神経学的転帰を伴う生存とし,30 日の時点での脳機能カテゴリー(CPC)のスコア(1~5 で,数値が高いほど障害が重度であることを示す)が 1 または 2 と定義した.解析は intention-to-treat の原則に基づいて行った.

結 果

無作為化された 160 例のうち,70 例が体外循環式 CPR 群,64 例が従来 CPR 群に割り付けられ,入院時に組入れ基準を満たさなかった 26 例は除外された.30 日の時点で,体外循環式 CPR 群では 14 例(20%)が良好な神経学的転帰を伴って生存していたのに対し,従来 CPR 群では 10 例(16%)であった(オッズ比 1.4,95%信頼区間 0.5~3.5,P=0.52).1 例あたりの重篤な有害事象の件数は 2 群で同程度であった.

結 論

難治性院外心停止患者に体外循環式 CPR を行った場合と従来の CPR を行った場合とで,良好な神経学的転帰を伴う生存に対する効果は同程度であった.(オランダ保健研究開発機構,マッケカーディオパルモナリー社 [ゲティンゲ] から研究助成を受けた.INCEPTION 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03101787)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 299 - 309. )