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February 2, 2023 Vol. 388 No. 5

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治療抵抗性高血圧に対するバクスドロスタットの第 2 相試験
Phase 2 Trial of Baxdrostat for Treatment-Resistant Hypertension

M.W. Freeman and Others

背景

アルドステロン合成酵素は,アルドステロンの合成を制御している物質で,数十年にわたり高血圧治療の薬理学的標的となっている.選択的に阻害することが必須であるが,コルチゾールの合成を触媒する別の酵素がアルドステロン合成酵素と 93%の配列類似性を有するため,その達成は困難である.バクスドロスタット(baxdrostat)は,前臨床研究と第 1 相試験において,アルドステロン合成酵素の阻害に関して 100:1 の選択性を示し,複数の用量で血漿アルドステロン濃度を低下させたが,コルチゾール濃度は低下させなかった.

方 法

多施設共同プラセボ対照試験で,血圧が 130/80 mmHg 以上で,利尿薬を含む 3 種類以上の降圧薬を一定用量で投与されている治療抵抗性高血圧患者を,バクスドロスタット(0.5 mg,1 mg,2 mg のいずれか)を 1 日 1 回 12 週間投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,バクスドロスタットの各用量群とプラセボ群とで比較した,ベースラインから 12 週目までの収縮期血圧の変化量とした.

結 果

248 例が試験を完了した.収縮期血圧は用量依存的に変化し,2 mg 群で -20.3 mmHg,1 mg 群で -17.5 mmHg,0.5 mg 群で -12.1 mmHg,プラセボ群で -9.4 mmHg であった.収縮期血圧の変化量のプラセボ群との差は,2 mg 群で -11.0 mmHg(95%信頼区間 [CI] -16.4~-5.5,P<0.001),1 mg 群で -8.1 mmHg(95% CI -13.5~-2.8,P=0.003)であった.試験期間中,死亡は発生せず,試験担当医師がバクスドロスタットに起因すると判断した重篤な有害事象はなく,副腎皮質機能低下症を発症した例もなかった.2 例で,バクスドロスタットに関連してカリウム値が 6.0 mmol/L 以上に上昇したが,投与中断後と再開後に再び上昇することはなかった.

結 論

バクスドロスタットを投与した治療抵抗性高血圧患者では,血圧が用量依存的に低下した.(シンコー・ファーマ社から研究助成を受けた.BrigHTN 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号NCT04519658)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 395 - 405. )