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February 16, 2023 Vol. 388 No. 7

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早期乳癌に対する乳房温存術単独と放射線照射併用との比較
Breast-Conserving Surgery with or without Irradiation in Early Breast Cancer

I.H. Kunkler and Others

背景

乳房温存術後,補助内分泌療法中のホルモン受容体陽性早期乳癌の高齢女性における乳房温存術後の放射線療法の省略に関しては,レベル 1 の限られたエビデンスしかない.

方 法

放射線照射の省略に関する第 3 相無作為化試験を行った.試験対象集団は,ホルモン受容体陽性,リンパ節転移陰性,T1 または T2 の原発性乳癌(腫瘍最大径 3 cm 以下)に対して乳房温存術が行われ,その際の切除マージンが明確であった,術後補助内分泌療法中の 65 歳以上の女性とした.患者を,全乳房照射(40~50 Gy)を行う群と行わない群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは乳癌局所再発とした.領域再発,乳癌特異的生存,初回イベントとしての遠隔再発,全生存も評価した.

結 果

1,326 例が組み入れられ,658 例が全乳房照射を行う群,668 例が照射を行わない群に無作為に割り付けられた.追跡期間の中央値は 9.1 年であった.10 年以内の乳癌局所再発の累積発生率は,放射線療法非施行群 9.5%(95%信頼区間 [CI] 6.8~12.3),放射線療法施行群 0.9%(95% CI 0.1~1.7)であった(ハザード比 10.4,95% CI 4.1~26.1,P<0.001).局所再発の頻度は放射線療法非施行群のほうが高かったものの,初回イベントとしての遠隔再発の 10 年発生率は,放射線療法非施行群のほうが高いということはなく,放射線療法非施行群 1.6%(95% CI 0.4~2.8),放射線療法施行群 3.0%(95% CI 1.4~4.5)であった.10 年の時点での全生存率は 2 群でほぼ同じで,放射線療法非施行群 80.8%(95% CI 77.2~84.3),放射線療法施行群 80.7%(95% CI 76.9~84.3)であった.領域再発率と乳癌特異的生存率にも,2 群間で大きな差はなかった.

結 論

低リスクのホルモン受容体陽性早期乳癌の 65 歳以上の女性における乳房温存術後の放射線療法の省略は,局所再発率の上昇と関連したが,初回イベントとしての遠隔再発,および全生存に対する有害な影響はなかった.(スコットランド政府チーフサイエンティストオフィス,エディンバラ西部総合病院乳がん研究所から研究助成を受けた.ISRCTN 登録番号 ISRCTN95889329)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 585 - 94. )