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March 2, 2023 Vol. 388 No. 9

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重症ツツガムシ病に対するドキシサイクリン静注,アジスロマイシン静注,または 2 剤併用の比較
Intravenous Doxycycline, Azithromycin, or Both for Severe Scrub Typhus

G.M. Varghese and Others

背景

ツツガムシ病は,広範に拡大している再興人獣共通感染症であるが,顧みられていない.重症ツツガムシ病に対する適切な抗菌薬治療は明らかにされていない.

方 法

多施設共同二重盲検無作為化比較試験で,重症ツツガムシ病の治療法として,ドキシサイクリン静注,アジスロマイシン静注,これら 2 剤の併用の有効性を比較した.15 歳以上で,1 つ以上の臓器が侵されている重症ツツガムシ病の患者を登録した.患者を,7 日間のコースでドキシサイクリン静注を行う群,アジスロマイシン静注を行う群,ドキシサイクリン静注とアジスロマイシン静注を行う(併用療法)群のいずれかに割り付けた.主要転帰は,28 日の時点での全死因死亡,7 日の時点での合併症の持続,5 日の時点での発熱の持続の複合とした.

結 果

修正 intention-to-treat 解析の対象は 794 例(年齢の中央値 48 歳)で,合併症は呼吸器系(62%),肝臓(54%),心血管系(42%),腎臓(30%),神経系(20%)などであった.複合主要転帰の発生率は,併用療法群のほうがドキシサイクリン群よりも低く(それぞれ 33%と 47%),リスク差は -13.3 パーセントポイントであった(95%信頼区間 [CI] -21.6~-5.1,P=0.002).また,併用療法群はアジスロマイシン群(48%)よりも低く,リスク差は -14.8 パーセントポイントであった(95% CI -23.1~-6.5,P<0.001).アジスロマイシン群とドキシサイクリン群とのあいだには,有意差は認められなかった(リスク差 1.5 パーセントポイント,95% CI -7.0~10.0,P=0.73).per-protocol 解析の結果は,主要解析の結果と同様であった.有害事象と 28 日死亡率は,3 群で同程度であった.

結 論

ドキシサイクリン静注とアジスロマイシン静注の併用療法は,重症ツツガムシ病の治療選択肢として,それぞれの単剤療法よりも優れていた.(インディア・アライアンス,ウェルカムトラストから研究助成を受けた.INTREST 試験:Clinical Trials Registry–India 番号 CTRI/2018/08/015159)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 792 - 803. )