The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

March 9, 2023 Vol. 388 No. 10

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

心停止後の体温管理装置を用いた発熱予防の継続期間
Duration of Device-Based Fever Prevention after Cardiac Arrest

C. Hassager and Others

背景

ガイドラインでは,心停止後は 72 時間の積極的な発熱予防が推奨されている.この介入に関する無作為化臨床試験のデータは不足している.

方 法

心原性と推定される院外心停止からの蘇生後,昏睡状態にある患者を,体温管理装置を用いて目標体温 36℃で 24 時間管理したあと,目標体温 37℃での体温管理を,12 時間(総介入期間 36 時間)または意識が回復するまで行う群と,48 時間(総介入期間 72 時間)または意識が回復するまで行う群に無作為に割り付けた.主要複合転帰は,無作為化後 90 日以内の全死因死亡,または脳機能カテゴリー(CPC:1~5 で,数値が高いほど障害が高度であることを示す)が 3(高度脳機能障害)もしくは 4(昏睡)での退院とした.副次的転帰は,3 ヵ月の時点での,全死因死亡,モントリオール認知評価(MoCA)スコア(0~30 で,数値が高いほど認知機能が良好であることを示す)などとした.

結 果

393 例が体温管理を 36 時間行う群,396 例が体温管理を 72 時間行う群に無作為に割り付けられた.無作為化後 90 日の時点で,主要転帰イベントは,36 時間群では 393 例中 127 例(32.3%),72 時間群では 396 例中 133 例(33.6%)に発生しており(ハザード比 0.99,95%信頼区間 0.77~1.26,P=0.70),死亡率は 36 時間群で 29.5%,72 時間群で 30.3%であった.3 ヵ月の時点で,MoCA スコアの中央値は,それぞれ 26(四分位範囲 24~29),27(四分位範囲 24~28)であった.有害事象の発現率に群間で有意差は認められなかった.

結 論

体温管理装置を用いた積極的な発熱予防を,心停止後 36 時間行った群と 72 時間行った群とで,死亡する患者,高度障害・昏睡の状態にある患者の割合に有意差は認められなかった.(ノボ ノルディスク財団から研究助成を受けた.BOX 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03141099)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 888 - 97. )