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March 16, 2023 Vol. 388 No. 11

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1 型糖尿病の幼児に対するハイブリッドクローズドループコントロールの試験
Trial of Hybrid Closed-Loop Control in Young Children with Type 1 Diabetes

R.P. Wadwa and Others

背景

インスリン送達のクローズドループコントロールシステムは,1 型糖尿病の幼児の血糖転帰を改善させる可能性がある.クローズドループシステムをバーチャル(遠隔)で開始することの有効性と安全性は明らかにされていない.

方 法

13 週間の多施設共同試験で,2 歳以上 6 歳未満の 1 型糖尿病の小児を,インスリン送達のクローズドループシステムによる治療を行う群と,持続血糖モニタリングを行い,インスリンポンプまたはインスリン頻回注射による標準治療を行う群に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要転帰は,持続血糖モニタリングで測定した血糖値が目標の 70~180 mg/dL の範囲内であった時間の割合(%)とした.副次的転帰は,血糖値が 250 mg/dL 超または 70 mg/dL 未満であった時間の割合(%),平均血糖値,糖化ヘモグロビン値,安全性転帰などとした.

結 果

102 例が無作為化された(クローズドループ群 68 例,標準治療群 34 例).ベースライン時の糖化ヘモグロビン値は 5.2~11.5%であった.クローズドループシステムがバーチャルで開始されたのは 55 例(81%)であった.血糖値が目標範囲内であった時間の割合の平均(±SD)は,クローズドループ群ではベースライン時の 56.7±18.0%から,13 週の追跡期間中に 69.3±11.1%に上昇し,標準治療群では 54.9±14.7%から 55.9±12.6%に上昇した(補正後の差の平均 12.4 パーセントポイント [1 日あたり約 3 時間に相当],95%信頼区間 9.5~15.3,P<0.001).血糖値が 250 mg/dL 超であった時間の割合,平均血糖値,糖化ヘモグロビン値にも同様の治療効果(クローズドループシステムのほうが良好)が認められ,血糖値が 70 mg/dL 未満であった時間の割合には,群間で有意差は認められなかった.クローズドループ群の 2 例と標準治療群の 1 例に重症低血糖が発現した.クローズドループ群の 1 例に糖尿病性ケトアシドーシスが発現した.

結 論

1 型糖尿病の幼児を対象とした試験で,クローズドループシステムは,標準治療と比較して,血糖値が目標範囲内であった時間の割合が高かった.(米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所から研究助成を受けた.PEDAP 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04796779)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 388 : 991 - 1001. )