October 19, 2023 Vol. 389 No. 16
生化学的再発をきたした前立腺癌に対するエンザルタミドによる転帰改善
Improved Outcomes with Enzalutamide in Biochemically Recurrent Prostate Cancer
S.J. Freedland and Others
高リスクの生化学的再発をきたした前立腺癌患者は,進行リスクが高い.エンザルタミドとアンドロゲン除去療法を併用する療法,およびエンザルタミド単剤療法の,アンドロゲン除去療法単独と比較した有効性と安全性は明らかにされていない.
第 3 相試験で,高リスク生化学的再発をきたした,前立腺特異抗原(PSA)倍加時間 9 ヵ月以下の前立腺癌患者を登録した.患者を,エンザルタミド(160 mg)1 日 1 回投与とリュープロリド(leuprolide)12 週ごと投与を併用する群(併用群),プラセボとリュープロリドを投与する群(リュープロリド単独群),エンザルタミド単剤療法を行う群(単剤療法群)に 1:1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,リュープロリド単独群と比較した,併用群の無転移生存とした.疾患の評価は,独立中央判定委員会が盲検下で行った.重要な副次的エンドポイントは,リュープロリド単独群と比較した,単剤療法群の無転移生存とした.その他の副次的エンドポイントは,患者報告アウトカムと安全性とした.
1,068 例が無作為化され,355 例が併用群,358 例がリュープロリド単独群,355 例が単剤療法群に割り付けられた.追跡期間の中央値は 60.7 ヵ月であった.5 年の時点で,無転移生存率は併用群 87.3%(95%信頼区間 [CI] 83.0~90.6),リュープロリド単独群 71.4%(95% CI 65.7~76.3),単剤療法群 80.0%(95% CI 75.0~84.1)であった.無転移生存に関して,エンザルタミド+リュープロリドは,リュープロリド単独に対する優越性を示し(転移または死亡のハザード比 0.42,95% CI 0.30~0.61,P<0.001),エンザルタミド単剤療法もまた,リュープロリド単独に対する優越性を示した(転移または死亡のハザード比 0.63,95% CI 0.46~0.87,P=0.005).新たな安全性シグナルは認められず,QOL 指標に大きな群間差はなかった.
高リスクの生化学的再発をきたした前立腺癌患者において,エンザルタミド+リュープロリドは,無転移生存に関して,リュープロリド単独に対する優越性を示し,エンザルタミド単剤療法もまた,リュープロリド単独に対する優越性を示した.エンザルタミドの安全性プロファイルは,先行する臨床試験で認められた安全性プロファイルと一致し,QOL に対する明らかな有害影響は認められなかった.(ファイザー社,アステラス ファーマ社から研究助成を受けた.EMBARK 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02319837)