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October 26, 2023 Vol. 389 No. 17

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1 型糖尿病合併妊娠女性に対する自動インスリン投与
Automated Insulin Delivery in Women with Pregnancy Complicated by Type 1 Diabetes

T.T.M. Lee and Others

背景

妊娠中の 1 型糖尿病の管理にはハイブリッドクローズドループインスリン療法が有望であることが示されているが,その有効性は明らかでない.

方 法

英国の 9 施設における多施設共同比較試験で,1 型糖尿病を有する糖化ヘモグロビン値 6.5%以上の妊娠女性を,標準的なインスリン療法を行う群と,ハイブリッドクローズドループ療法を行う群に無作為に割り付け,両群で持続血糖測定を行った.主要転帰は,妊娠 16 週から出産までの,持続血糖測定器で測定した血糖値が,妊娠期の目標範囲内(63~140 mg/dL [3.5~7.8 mmol/L])であった時間の割合(%)とした.解析は intention-to-treat の原則に基づいて行った.副次的転帰は,高血糖状態(血糖値>140 mg/dL)であった時間の割合(%),夜間血糖値が目標範囲内であった時間の割合(%),糖化ヘモグロビン値,安全性イベントなどとした.

結 果

124 例が無作為化され,平均(±SD)年齢は 31.1±5.3 歳,ベースライン時の糖化ヘモグロビンの平均値は 7.7±1.2%であった.母体の血糖値が目標範囲内であった時間の割合の平均は,クローズドループ群 68.2±10.5%,標準治療群 55.6±12.5%であった(補正後の差の平均 10.5 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] 7.0~14.0,P<0.001).副次的転帰の結果は主要転帰の結果と一致しており,クローズドループ群の参加者は,標準治療群の参加者よりも,高血糖状態であった時間が短く(差 -10.2 パーセントポイント,95% CI -13.8~-6.6),夜間血糖値が目標範囲内であった時間が長く(差 12.3 パーセントポイント,95% CI 8.3~16.2),糖化ヘモグロビン値が低かった(差 -0.31 パーセントポイント,95% CI -0.50~-0.12).低血糖状態であった時間はわずかであった.妊娠中のクローズドループ療法の実施に伴う予期せぬ安全性の問題は発生しなかった(重症低血糖はクローズドループ群では 6 件発生したのに対し標準治療群では 5 件発生し,糖尿病性ケトアシドーシスは各群 1 件発生し,デバイス関連有害事象はクローズドループ群では 12 件発生し,うち 7 件はクローズドループ療法に関連したものであった).

結 論

ハイブリッドクローズドループ療法は,1 型糖尿病合併妊娠中の母体の血糖コントロールを有意に改善した.(有効性・作用機序評価プログラムから研究助成を受けた.AiDAPT 試験:ISRCTN 登録番号 ISRCTN56898625)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 1566 - 78. )