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November 2, 2023 Vol. 389 No. 18

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切除可能非小細胞肺癌に対する周術期のデュルバルマブ投与
Perioperative Durvalumab for Resectable Non–Small-Cell Lung Cancer

J.V. Heymach and Others

背景

術前または術後の免疫療法は,切除可能非小細胞肺癌(NSCLC)患者の転帰を改善する可能性がある.周術期レジメンでは,両方の利益が合わさって長期転帰を改善するかもしれない.

方 法

切除可能 NSCLC(「AJCC 癌病期分類マニュアル第 8 版」に基づく II~IIIB 期 [N2 リンパ節転移])患者を,デュルバルマブ群とプラセボ群に無作為に割り付け,それぞれ,術前に白金製剤ベースの化学療法に加えてデュルバルマブまたはプラセボの静脈内投与を 3 週ごとに 4 サイクル行い,術後にデュルバルマブまたはプラセボの静脈内投与を 4 週ごとに 12 サイクル行った.無作為化は,病期(II 期または III 期)と,プログラム細胞死リガンド 1(PD-L1)の発現率(1%以上または 1%未満)で層別化して行った.主要エンドポイントは,無イベント生存(手術の施行または完了を妨げる病勢進行,疾患再発 [独立中央判定委員会が盲検下で評価],全死因死亡のいずれかが最初に発生するまでの期間と定義)と,病理学的完全奏効(中央で評価)とした.

結 果

802 例がデュルバルマブ群(400 例)とプラセボ群(402 例)に無作為に割り付けられた.1 回目の中間解析の時点で,無イベント生存期間はデュルバルマブ群のほうがプラセボ群よりも有意に長く,病勢進行・再発・死亡の層別化ハザード比は 0.68(95%信頼区間 [CI] 0.53~0.88,P=0.004)であった.12 ヵ月の時点でのランドマーク解析時には,無イベント生存はデュルバルマブ群の 73.4%(95% CI 67.9~78.1)で観察されたのに対し,プラセボ群では 64.5%(95% CI 58.8~69.6)であった.病理学的完全奏効割合は,デュルバルマブ群のほうがプラセボ群よりも有意に高かった(最終解析の時点で 17.2% 対 4.3%,差 13.0 パーセントポイント,95% CI 8.7~17.6,402 例のデータの中間解析の時点で P<0.001).無イベント生存と病理学的完全奏効への利益は,病期と PD-L1 発現状況にかかわらず認められた.最大グレードが 3 または 4 の有害事象は,デュルバルマブ群の 42.4%とプラセボ群の 43.2%に発現した.EGFR 変異または ALK 変異が確認された 62 例のデータは,修正 intention-to-treat 集団の有効性解析から除外された.

結 論

切除可能 NSCLC 患者において,周術期デュルバルマブ投与と術前化学療法の併用は,術前化学療法単独と比較して無イベント生存期間が有意に長く,病理学的完全奏効割合が有意に高いことと関連し,安全性プロファイルは各薬剤の安全性プロファイルと一致していた.(アストラゼネカ社から研究助成を受けた.AEGEAN 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03800134)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 1672 - 84. )