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November 9, 2023 Vol. 389 No. 19

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アイスランドにおけるアクショナブル遺伝子型およびその寿命との関連
Actionable Genotypes and Their Association with Life Span in Iceland

B.O. Jensson and Others

背景

2021 年,米国臨床遺伝・ゲノム学会(ACMG)は,予防法・治療法のある疾患に関連する 73 遺伝子のアクショナブル遺伝子型の報告を推奨した.これらの遺伝子のアクショナブル遺伝子型と寿命との関連の評価は,現時点でほとんど行われていない.

方 法

アイスランド人 57,933 人のゲノムにおいて,ACMG の二次的所見患者開示推奨度別リスト第 3.0 版(ACMG SF v3.0)に記載されている,遺伝子のコーディングバリアントとスプライスバリアントの保有率を評価した.ClinVar データベースに報告されたエビデンス,バリアントの頻度,その疾患との関連を用いて,レビューしたすべてのバリアントに病原性を割り当て,手動でキュレーションしたアクショナブル遺伝子型(バリアント)のセットを作成した.アクショナブル遺伝子型と寿命との関連を評価し,さらに,保有者における特定の死因を調査した.

結 果

ACMG SF v3.0 に記載された遺伝子の配列バリアント 4,405 個の手動キュレーションにより,53 遺伝子の 235 個のアクショナブル遺伝子型を同定した.57,933 人のうち,2,306 人(4.0%)が 1 個以上のアクショナブル遺伝子型を保有していた.アクショナブル遺伝子型の保有者は,非保有者よりも生存期間中央値が短いことが認められた.とくに,癌遺伝子のアクショナブル遺伝子型の保有は,非保有よりも生存期間が 3 年短いことと関連しており,保有者の死因は,主に癌関連の病態に起因するものであった.さらに,心血管疾患群において,特定の遺伝子のアクショナブル遺伝子型の保有と,寿命の短縮との関連を示すエビデンスが認められた.

結 論

ACMG SF v3.0 ガイドラインに基づくと,アイスランド人の 25 人に約 1 人がアクショナブル遺伝子型を保有し,そのような遺伝子型の保有は,寿命の短縮と関連することが認められた.(デコード・ジェネティクス社–アムジェン社から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 1741 - 52. )