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November 16, 2023 Vol. 389 No. 20

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RET 変異陽性進行甲状腺髄様癌に対するセルペルカチニブの第 3 相試験
Phase 3 Trial of Selpercatinib in Advanced RET-Mutant Medullary Thyroid Cancer

J. Hadoux and Others

背景

強力な高選択的 RET 阻害薬であるセルペルカチニブは,RET 変異陽性進行甲状腺髄様癌に対する有効性が第 1・2 相試験で示されているが,承認されているマルチキナーゼ阻害薬と比較した有効性は明らかでない.

方 法

一次治療としてのセルペルカチニブと,担当医が選択したカボザンチニブまたはバンデタニブ(対照群)とを比較する第 3 相無作為化試験を行った.組入れ前の 14 ヵ月間に進行が確認された患者を適格とした.試験実施計画書に規定された有効性の中間解析の主要エンドポイントは無増悪生存とし,独立中央判定委員会が盲検下で評価した.対照群の患者は,進行が確認された場合にセルペルカチニブへのクロスオーバーを可能とした.治療奏効維持生存を,有意水準αを調整した副次的エンドポイントとした.これは無増悪生存に有意性が示された場合にのみ検定し,独立中央判定委員会が盲検下で評価した.その他の副次的エンドポイントは全奏効,安全性などとした.

結 果

291 例が無作為化された.追跡期間中央値 12 ヵ月の時点で,独立中央判定委員会が盲検下で評価した無増悪生存期間の中央値は,セルペルカチニブ群で未到達,対照群で 16.8 ヵ月(95%信頼区間 [CI] 12.2~25.1)であった(病勢進行または死亡のハザード比 0.28,95% CI 0.16~0.48,P<0.001).12 ヵ月無増悪生存割合は,セルペルカチニブ群 86.8%(95% CI 79.8~91.6),対照群 65.7%(95% CI 51.9~76.4)であった.独立中央判定委員会が盲検下で評価した治療奏効維持生存期間の中央値は,セルペルカチニブ群で未到達,対照群で 13.9 ヵ月であった(病勢進行,治療関連有害事象による中止,死亡のハザード比 0.25,95% CI 0.15~0.42,P<0.001).12 ヵ月の時点での治療奏効維持生存割合は,セルペルカチニブ群 86.2%(95% CI 79.1~91.0),対照群 62.1%(95% CI 48.9~72.8)であった.全奏効割合は,セルペルカチニブ群 69.4%(95% CI 62.4~75.8),対照群 38.8%(95% CI 29.1~49.2)であった.用量減量にいたった有害事象は,セルペルカチニブ群では 38.9%に発現したのに対し対照群では 77.3%であり,投与中止にいたった有害事象はそれぞれ 4.7%と 26.8%に発現した.

結 論

RET 変異陽性甲状腺髄様癌患者にセルペルカチニブを投与した場合,カボザンチニブまたはバンデタニブを投与した場合と比較して,無増悪生存割合と治療奏効維持生存割合が良好であった.(ロクソ オンコロジー社 [イーライリリー社の子会社] から研究助成を受けた.LIBRETTO-531 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04211337)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 1851 - 61. )