December 7, 2023 Vol. 389 No. 23
KRAS G12C 変異陽性難治性大腸癌に対するソトラシブとパニツムマブの併用
Sotorasib plus Panitumumab in Refractory Colorectal Cancer with Mutated KRAS G12C
M.G. Fakih and Others
KRAS G12C は,転移性大腸癌患者の約 3~4%に生じる変異である.KRAS G12C 阻害薬単剤療法の有効性は小さい.KRAS G12C 阻害薬ソトラシブと上皮成長因子受容体(EGFR)阻害薬パニツムマブの併用は,有効な戦略となる可能性がある.
第 3 相多施設共同非盲検無作為化試験で,KRAS G12C 変異陽性の化学療法抵抗性転移性大腸癌を有し,KRAS G12C 阻害薬による治療歴のない患者を,ソトラシブ 960 mg 1 日 1 回とパニツムマブを併用する群(53 例),ソトラシブ 240 mg 1 日 1 回とパニツムマブを併用する群(53 例),試験担当医師が選択したトリフルリジン・チピラシル配合剤またはレゴラフェニブを投与する群(標準治療,54 例)に割り付けた.主要エンドポイントは無増悪生存とし,独立中央判定委員会が固形癌治療効果判定基準(RECIST)バージョン 1.1 に基づき盲検下で評価した.重要な副次的エンドポイントは全生存と客観的奏効とした.
追跡期間中央値 7.8 ヵ月(範囲 0.1~13.9)の時点で,無増悪生存期間の中央値は,ソトラシブ 960 mg+パニツムマブ群で 5.6 ヵ月(95%信頼区間 [CI] 4.2~6.3),ソトラシブ 240 mg+パニツムマブ群で 3.9 ヵ月(95% CI 3.7~5.8)であったのに対し,標準治療群では 2.2 ヵ月(95% CI 1.9~3.9)であった.病勢進行または死亡のハザード比は,標準治療群との比較でソトラシブ 960 mg+パニツムマブ群で 0.49(95% CI 0.30~0.80,P=0.006),ソトラシブ 240 mg+パニツムマブ群で 0.58(95% CI 0.36~0.93,P=0.03)であった.全生存のデータは揃っていない.客観的奏効割合は,ソトラシブ 960 mg+パニツムマブ群で 26.4%(95% CI 15.3~40.3),ソトラシブ 240 mg+パニツムマブ群で 5.7%(95% CI 1.2~15.7),標準治療群で 0%(95% CI 0.0~6.6)であった.グレード 3 以上の治療関連有害事象は,それぞれ 35.8%,30.2%,43.1%に発現した.ソトラシブ+パニツムマブによる有害事象でとくに頻度が高かったのは,皮膚関連毒性と低マグネシウム血症であった.
化学療法抵抗性転移性大腸癌患者を対象とした KRAS G12C 阻害薬+EGFR 阻害薬併用の第 3 相試験において,ソトラシブの 2 用量のいずれも,パニツムマブと併用した場合,無増悪生存期間が標準治療よりも長くなった.毒性は各薬剤単独で予想されたとおりであり,毒性による投与中止は少なかった.(アムジェン社から研究助成を受けた.CodeBreaK 300 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT05198934)