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August 17, 2023 Vol. 389 No. 7

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IDH1 または IDH2 変異陽性の低悪性度神経膠腫に対するボラシデニブ
Vorasidenib in IDH1- or IDH2-Mutant Low-Grade Glioma

I.K. Mellinghoff and Others

背景

イソクエン酸脱水素酵素(IDH)変異陽性のグレード 2 神経膠腫は,重大な障害と早期死亡を引き起こす悪性脳腫瘍である.ボラシデニブ(vorasidenib)は,脳移行性を有する,変異型 IDH1 および IDH2 の経口阻害薬であり,IDH 変異陽性神経膠腫に対して予備的な抗腫瘍活性を示した.

方 法

二重盲検第 3 相試験で,グレード 2 の IDH 変異陽性神経膠腫が残存または再発した,手術以外の治療歴のない患者を,ボラシデニブ(40 mg を 1 日 1 回)を 28 日サイクルで経口投与する群と,マッチさせたプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは画像に基づく無増悪生存とし,独立判定委員会が盲検下で評価した.重要な副次的エンドポイントは,腫瘍に対する次の介入開始までの期間とした.画像で病勢進行が認められた場合に,プラセボからボラシデニブへのクロスオーバーを可能とした.安全性も評価した.

結 果

331 例がボラシデニブ群(168 例)とプラセボ群(163 例)に割り付けられた.追跡期間中央値 14.2 ヵ月の時点で,226 例(68.3%)がボラシデニブまたはプラセボの投与を継続していた.無増悪生存期間は,ボラシデニブ群でプラセボ群よりも有意に延長した(無増悪生存期間の中央値 27.7 ヵ月 対 11.1 ヵ月,病勢進行または死亡のハザード比 0.39,95%信頼区間 [CI] 0.27~0.56,P<0.001).次の介入開始までの期間は,ボラシデニブ群でプラセボ群よりも有意に延長した(ハザード比 0.26,95% CI 0.15~0.43,P<0.001).グレード 3 以上の有害事象は,ボラシデニブの投与を受けた患者の 22.8%とプラセボの投与を受けた患者の 13.5%に発現した.グレード 3 以上のアラニンアミノトランスフェラーゼ上昇が,ボラシデニブの投与を受けた患者の 9.6%でみられ,プラセボの投与を受けた患者ではみられなかった.

結 論

グレード 2 の IDH 変異陽性神経膠腫患者では,ボラシデニブによって有意に無増悪生存期間が延長し,次の介入開始までの期間が遅くなった.(セルヴィエ社から研究助成を受けた.INDIGO 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04164901)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 589 - 601. )