The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

August 31, 2023 Vol. 389 No. 9

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

口蓋裂に対する初回手術のタイミング
Timing of Primary Surgery for Cleft Palate

C. Gamble and Others

背景

口蓋裂単独児では,初回手術を生後 6 ヵ月の時点で行うほうが,生後 12 ヵ月の時点で行うよりも,言語成績,聴力成績,歯牙顔面発育,安全性に関して有益であるかどうかは明らかではない.

方 法

非症候性口蓋裂単独児を,裂を閉鎖するための標準的な初回手術を生後 6 ヵ月の時点で行う群(6 ヵ月群)と,生後 12 ヵ月の時点で行う群(12 ヵ月群)に,1:1 の割合で無作為に割り付けた.1 歳,3 歳,5 歳の時点で,質の確認されている動画・音声記録の標準化された評価を,試験群の割り付けを知らない言語療法士が独立に行った.主要転帰は 5 歳時の鼻咽腔閉鎖機能不全とし,鼻咽腔複合要約スコアが 4 以上(スコア範囲は 0~6 で,数値が高いほど重症であることを示す)と定義した.副次的転帰は,言語発達,術後合併症,聴覚感度,歯牙顔面発育,成長などとした.

結 果

欧州および南米の 23 施設の乳児 558 例を,生後 6 ヵ月の時点で手術を行う群(281 例)と,生後 12 ヵ月の時点で行う群(277 例)に無作為に割り付けた.6 ヵ月群の 235 例(83.6%),12 ヵ月群の 226 例(81.6%)の発話記録が解析可能であった.5 歳時の鼻咽腔閉鎖機能不全は,6 ヵ月群では 235 例中 21 例(8.9%)で観察されたのに対し,12 ヵ月群では 226 例中 34 例(15.0%)であった(リスク比 0.59,95%信頼区間 0.36~0.99,P=0.04).術後合併症の頻度は低く,6 ヵ月群と 12 ヵ月群とで同程度であった.重篤な有害事象は 4 件報告され(6 ヵ月群 3 件,12 ヵ月群 1 件),追跡調査時には回復していた.

結 論

口蓋裂単独の手術に医学的に適した乳児において,初回手術を,生後 6 ヵ月の時点で十分に設備の整った環境で受けた場合,生後 12 ヵ月の時点で受けた場合よりも,5 歳時に鼻咽腔閉鎖機能不全を有する可能性が低かった.(米国国立歯科・頭蓋顔面研究所から研究助成を受けた.TOPS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00993551)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2023; 389 : 795 - 807. )